「ポケモンGO」は中高年向けのTinderになれるのか│世永玲生
~おじさんおばさんがポケモンGOにハマる理由~
ポケGOは終わっていない! 50代を熱くさせている理由とは?
◆ポケモン黄金期世代と隠れ黄金期世代
まず、年代ごとの属性を掘り下げていきましょう。
リリース時の使用率において高い数値を叩き出している、20代と30代を見てみましょう。20代後半~30代前半は「ポケモン金・銀」が発売された1999年に小学校中学年~中学生を過ごした世代です。
僕は「金・銀」の発売時にはソニー・ミュージックエンタテインメントで働いていて20代中盤でした。
エンタテインメントの会社で、プレイステーションビジネスを行っているSCE(当時)は同社出身の社員が多い土壌にも関わらず、ポケモン「金・銀」をプレイしている僕は「ゲームオタク」「変わり者」扱いで、社内に同志は数人いるかといったところでした。
高校生のポケモントレーナーは「まだゲームをやってる奴」と当時は言われていました。
また、アニメは1998年から放映をスタートしており、「子供受けアニメ」を見る世代は、ゲームをやらないまでもポケモンと日常的に触れ合っていました。
つまり、「ポケモンアニメスタート」「ポケモン金・銀発売」時に、ゲームやアニメがコミュニケーションツールとなっていた小中学生が、「ポケモン世代」ということになります。
ちなみに、ポケモンは「赤・緑」が初代なわけなのですが、こちらは販売時は23万本と振るわず、アニメやマンガのメディアミックスで翌年からヒット作となったスロースターターなゲームタイトルです。
次に注目すべきは50代です。50代は継続率56%と高い数値を叩き出しているのですが、これは一体なぜでしょうか。
それは、50代がポケモン黄金世代の親世代に当たるからです。「隠れ黄金期世代」といっても良いでしょう。
毎日「ポケモン言えるかな」を言っていた子供の親の世代にとってもまた、ポケモンというキャラクターは非常に馴染みやすいわけです。
◆ポケモンGO中高年に何故うける。
さて、50代にポケモンGOが受ける理由は彼ら彼女らが「隠れ黄金期世代」というだけではありません。ポケモンGOの課金構造も中高年層にフィットする内容になっています。
ポケモンGOはいわゆる「ガチャ」であったり、ゲームプレイの為の体力(以下スタミナ)回復等の課金モデルを打ち出していません。 主たる課金項目は
・バッグアップグレード
・ポケモンボックスアップグレード
・ルアー
・しあわせタマゴ
・ふかそうち
です。
まず、バッグアップグレードです、これはアイテムを保存しておける最大数を拡張出来る課金アイテムで、初期値は350個です。
普通にプレイしている分には暫くの間350個で十分間に合うのですが、プレイを進めるうちに段々と手狭になってきて、課金をしたくなります。
この課金は1度すればずっと効果があり、ゲームをプレイする上での「設備投資」的な扱いになります。
次にポケモンボックスアップグレードです。これは捕まえたポケモンを保存しておく枠を拡張できる課金アイテムで、ある程度ポケモンを集め始めると、アイテム同様手狭になってきます。
私はあえて進化させてないものを除けば、第一世代のポケモンはラプラス以外は揃っている状態ですが、プレイ2週間目に900まで拡張してます。
こちらもバッグアップグレード同様1度課金をすれば永久に効果があります。
普通のプレイをしている場合には 800~900くらい、「巣」に頻繁に出入りする人は上限値である1000までの拡張がマストとなるでしょう。この場合には3000ポケコインが必要となります。
このポケコインというのはポケモンGOでアイテムを買うための通貨で、まとめ買いをすると100ポケコインが約80円ですので、この最大拡張はおおよそ2400円の投資が必要ということになります。
これらの共通する特徴は、ゲームプレイの際に課金を強制されるわけではなく、「快適にプレイするため」に自ら望んで課金をするモデルになっている点です。
ゲームプレイのための「スタミナ」がないとゲームができなくなり、そのために課金する。
強いキャラクターを入手するためには他に手段がないから課金する。
といった課金モデルはポケモンには採用しておらず、そのまま無料でもプレイ出来るが、より快適にプレイをするために「設備投資」をする。
こういったモデルはいわゆる「ソシャゲ的なガチャ課金」に馴染みのない中高年層にも、すんなり受け入れられました。