『結婚生活がうまくいくキーワードは、ゆるゆる×ぬくぬく』
失望する前に結婚生活の現実を覚悟して~スペシャル対談③エッセイスト・小林久乃×ゲイの精神科医・Tomy
■結婚は“好きな人を羽交い締めにする行為”ってまだ言わせてください(笑)(小林)
小林久乃(以下:小林) 「友人が昔言っていたんですよ。『結婚をしてからイベントがなくなった。だから子どもを作らなくちゃいけない』って。まあ恋愛中は、季節のイベントと誕生日をこなすだけでも忙しいけど、結婚するとただの共同生活ですからね。ちなみにその友人、旦那の浮気が原因で離婚していました。結婚をしてから『こんなはずではなかった!』っていうクレームはよく聞きます」
Tomy 「人生のライフイベントで、ストレスレベルを数値化した『生活変化ストレス尺度』というのもがあるんです。その数値によると、人が一番ストレスを受けるのは『パートナーの死』。他に、留置所の交流とか、出産、結婚もランキングに入っています。やっぱりライフスタイルが変わるということは、当然のごとくストレスがあるんですよ。だからその友達は結婚生活に夢を見過ぎていたか、男性経験が少なかったか。慣れていないことをするのは苦痛だし、結婚となると簡単にやり直しはできないですから」
小林 「私はこれから結婚を考えるなら、パートナーの前で自分が無理をしていないかどうかは気にするかも」
Tomy 「一緒にいて苦痛ではないかどうかを意識する、ですね。結婚って、地味で日常があるからその先に二人なりの幸せが見えるんですよ。例えばそれが子どもを望んでいるとかね」
小林 「先生は結婚=生活だということをずっと主張されていますよね。でも私が今まで女性雑誌で取材してきた限りでは“相手に見られている、見せる意識”も必要だって、よく書いた記憶があるんです。いるじゃないですか、結婚したらめちゃくちゃ太るとか、肌がどんどん汚くなる。もちろん多忙であるという前提はあるけど、私なら詐欺に感じそう……」
Tomy 「小林さんは結婚に憧れがあるタイプですか?」
小林 「もうあんまり夢は抱いていないし、もちろん結婚をしない宣言をしたわけでもないですけどね。でも昔から『結婚は好きな相手を羽交い締めにする行為だ』って言っています。それくらい言わせてもらってもいいですよね?」
Tomy 「もちろん、自由ですからね。(笑)でも家の中で、パートナーからずっと見られている意識があると疲れちゃいますよ。ユニクロのジャージを着て、ゆるゆる、ぬくぬくと過ごしているのが幸せです」
小林 「それも悪くはないですし、私もやっています。でも相手がどんどん劣化していく姿は見たくないな。……昔ね、男性に奢られるのがすごく苦手だったんですよ。『私も働いているんだから!』っておかしな虚勢を張っちゃって、割り勘主義。それが30代後半になった頃かな? 地元で同級生の男子に会ったら、みんな肌が汚くて、体型も変わっていてグッチャグチャだったの。あれ、ショックだったな〜……。女子って最低限の気を遣うから、差はあるけれど、救いようのない事態には陥っていない。その時に思ったんです。女子は女性になっても、お金と時間をかけてきれいでいようとする。頑張る。でも男子は男子のままで、自分の身なりに気を遣わない。それなら、気持ち良く奢られることにしました。男だからって汚くていいわけがないですもん」
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小林 久乃(こばやしひさの)
エッセイスト/ライター/編集者/クリエイティブディレクター
エンタメやカルチャー分野に強く、ウェブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。
Tomy(とみー)
精神科医
精神科病院勤務を経てクリニックに常勤医として勤務。2019年6月から本格的に投稿を開始したツイッターが話題を呼び、半年ほどでフォロワー13万フォロワー突破。精神科医の知識とオネエキャラをミックスした愛の言葉に励まされる子羊たちが多く、さらに人気急上昇して現在15万人が彼のツイを待ちわびている。覆面にてメディアにも出演。