堀江貴文が考える、「遊びの達人」だけが生きていける理由とは?
「遊びと仕事の境界」が曖昧になっていく時代
10年後のビジネスを作る「遊びの達人」
技術の進化によって人々の余暇時間が生まれると、「遊び」が仕事になる。別に遊びでなくとも、興味があること、熱中できることであればなんでもいい。
たとえば、いま僕が興味を持って取り組んでいることに予防医療がある。当然、僕も健康でいたい。なので、胃がんの99%の原因と言われているピロリ菌の検査を皮切りに、口内の健康を維持するための歯周病検査、B型・C型肝炎の検査に、最近では大腸内検査なども行っている。
そして、ピロリ菌検査・除去の啓蒙活動の一環として設立した「予防医療普及委員会」は、クラウドファンディングを成功させ、1370万円もの資金を集めることができた。それは世の中の人がそれだけ予防医療に関心があるということを示している。
そういった多くの人の健康も素晴らしいことだし、予防医療によって個人の医療費が削減されると、結果として国の財政を圧迫する医療費を大幅に削減することにもつながる。そこにさまざまな医療技術の進化が加われば、寿命を伸ばしていくことだって不可能ではない。
こうやって活動を行うことで、誰もが生きやすい世の中になっていくことは、とても素晴らしいことだ。同じように、自分が好きなことや面白いことをやって生きていける世界も素晴らしいと思う。
「興味のあること=ハマれるもの=遊び=仕事」ということなのだが、これらは仕事と完全に区別するのは難しい。本田宗一郎だって自動車やバイクの機械いじりが好きで熱中したからこそ、「HONDA」という会社が誕生した。
このような遊びと仕事の境界は、これからの時代ますます曖昧になっていく。すでに、YouTuber やブロガーなどのネット系以外でも、やりたいことをやって楽しく生きていくための環境も整いはじめている。
先日、バンコクへ行ったときに「ウェイクパーク」という場所へ行った。田んぼを改装してワイヤー・ウェイクボードをできるようにした施設で、とても人気なのだそうだ。実際に僕も体験してみてとても面白かったし、また来たいと思った。
ウェイクパークは、もしかしたら今後、タイの観光ビジネスの一つになるかもしれない。もし10年後にそうなったら、いま田んぼで一日中ウェイクボードに乗って遊んでいる地元の若者たちは、技術が上達してインストラクターとなっているだろう。もちろん、観光客相手にビジネスを展開することもできる。
他にも、いまでこそおもちゃ的に見られている「ドローン」。遠隔操作の可能なマルチコプターだが、今後は流通の重要なポイントとなる可能性が高い。人間が入ることのできないような、調査が難しい場所の探索などにも利用されてくるはずだ。もちろん、一部はAIや自動化という形で運用されることになると思われるが、人が操作しなければならないパターンも出てくるはず。
そんなことを見越してか、米国際無人機協会という団体は、「ドローンの市場規模は2025年までに米国内で820億ドル(約9兆6000万円)に達し、それによって10万人以上の雇用を生み出す」とも提唱している。
ドローンパイロットが必要となったときに価値が高まるのは、いまドローンで遊び、高度な操作技術を身につけている人たちだ。
余暇時間が増え、遊びがビジネスへと変貌する。そんなときに仕事を得ているのは、「遊びの達人」に違いない。