「政治のカネは自分で稼いだ」田中角栄のお金に対する自負 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

「政治のカネは自分で稼いだ」田中角栄のお金に対する自負

角栄とその時代 その3:社民でなく自民なワケ

民主か自由か

—-田中角栄が一筋縄でいかない「政治的スタンス」とは?

平野氏「角栄の根っこにあるのは都市と農村の地域間格差の解消、そして新潟のように近代化から取り残され、政治の光が当たらない《裏日本》全般に政治の光を届かせることでした。つまり、社会インフラ整備を中心とした所得の再配分を公平に行おうとしたのです。その意味で、角栄の政治理念は一見、社会民主主義的でもあります」

—-社民主義ですか!

平野氏「いやいや、そんな簡単な分け方では、角さんを捉えることはできませんなあ。角さんは、ズバリ、矛盾の『中間』で判断する『懐の広さ』が民衆の人気を呼んだのだと思います。しかも、角栄の真骨頂は、公平、平等では収まらない思いやり=惻隠(そくいん)の情があったんです。弱き者にはさらに余分に与える価値判断をしました。『か弱き者にはもっと優しい自由民主主義者』とでも呼んでいいかもしれません。自由か平等か、黒か白かという割り切り方で物事を考えるのではなく、対立や矛盾の中で優しい決断をしたことで民衆の人気をググッと獲得したのです」

●角さんの教訓3●

角さんは、単なる平等主義者ではなかった。弱き者には、さらに優しい、つまり、「惻隠の情」を持っていたから民衆に愛された

KEYWORDS:

オススメ記事

平野 貞夫

ひらの さだお

1935年高知県出身。法政大学大学院社会科学研究科政治学専攻修士課程修了後、衆議院事務局に入局。園田直衆議院副議長秘書、前尾繁三郎衆議院議長秘書、委員部長等を歴任。ロッキード事件後の政治倫理制度や、政治改革の実現をめぐって、当時衆議院議院運営委員長だった小沢一郎氏を補佐し、政策立案や国会運営の面から支える。92年衆議院事務局を退職し、参議院議員に当選。以降、自民党、新生党、新進党、自由党、民主党と、小沢氏と行動をともにし、「小沢の知恵袋」「懐刀」と称せられる。自社55年体制より、共産党も含めた各党に太いパイプを持ち、政界の表も裏も知り尽くす存在で、宮沢喜一元首相からは「永田町のなまず」と呼ばれる。現在、土佐南学会代表、日本一新の会代表。主な著書に『ロッキード事件 葬られた真実』(講談社)、『平成政治20年史』(幻冬舎新書)、『わが友・小沢一郎』(講談社)、『田中角栄を葬ったのは誰だ』(K&Kプレス)、『野党協力の真相』(詩想社新書)などがある。


この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

角栄———凄みと弱さの実像
角栄———凄みと弱さの実像
  • 平野 貞夫
  • 2017.02.25
あ・じゃ・ぱん
あ・じゃ・ぱん
  • 矢作 俊彦
  • 2002.03.01