大ヒットの秘密は「視点」を変えること。『バイオハザード7』恐すぎて、面白い。
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恐すぎるという意見には嬉しさ半分、反省半分
転機となったのは、2015年6月に開催された「E3(Electronic Entertainment Expo)」。この世界最大のコンピュータゲーム見本市で、VR対応のテックデモ『KITCHEN』が大きな反響を呼んだのだ。
「正直、予想以上の手応えでした。ただ、手応えが良すぎた結果、我々のボスである竹内(潤/カプコンCS第一開発統括)から『もう全部(VRで)やったらええんちゃうか』との指令が下りまして…(笑)」(川田氏)
今作の大きな特徴のひとつと言えるのが“一人称視点”。これまでの『バイオハザード』シリーズでは三人称視点だったが、恐怖の演出を見直すことで視点変更を決断したという。
「ホラーというのは、やはり一人称視点が一番合っているのではないかと。恐怖の対象と対峙したとき、ディティールがよりはっきり見えることになりますからね。また、結果として全編VR対応にも当て込みやすかったやすかったです」(川田氏)
ほかにも、一人称視点で心掛けたのは、ゲーム世界へのさらなる没入感だ。主人公にあえて余計な色をつけず、プレーヤーが自分自身を投影できるようにした。こうした工夫により、さらなる臨場感と恐怖を実現させている。
「『恐すぎる』というご意見に対しては、嬉しさ半分・反省半分といったところです。でも、恐いだけじゃないんですよ。主人公の色を控えめにした分、邸内で出会うベイカー一家にはガンガン色づけしましたから。たとえば一家の主ジャックは、プレーヤーを襲うときの決め台詞が『お前も家族だ』です。最初は恐いフレーズに聞こえるかもしれませんが、ストーリーが明かされるなかで彼の家族に対する執着が分かるはず。そうなると、彼の台詞から恐さとは異なる印象を受けることにでしょう」(川田氏)