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「友引」でも葬儀をする都道府県とは?

各地に伝わる葬儀の風習

赤飯や紅白の水引もアリ!?

 山村美紗原作のサスペンスドラマ『赤い霊柩車』シリーズは、葬儀社が舞台なので劇中にも葬儀風景が登場する。なかでも印象的なのは、霊柩車が式場を出る際に茶碗を割るシーンではないだろうか。ほぼ毎回、山村紅葉演じる内田良恵が茶碗を地面に叩きつけている。
 これは京都の風習で、割られているのは故人が使用していた茶碗なのだとか。その理由は、故人が現世に戻らないため。つまり、この世でもう食事はできないのだから、無事に成仏してほしいという願いが込められているそうだ。同様の風習は、福岡県でも見られることがある。
 京都では、一般的には避けられる友引の日でも葬儀を行うことがあるという。「友を道連れにする」とされる日だが、友人形といわれる人形を棺にいれることでこの問題を解消し、葬儀を行っても問題ないとされている。

 

 ほかにも、弔事に黄色と白の水引を使用するなど、葬儀にも独自の風習が見られる。これはほかの地域も同様で、調べてみると一般には「変わっている」とされる風習が多数見受けられるのだ。
 たとえば北海道では、香典にも領収書が発行される。さらに、香典袋の表面には、名前だけでなく住所も記入するのが特徴だ。葬儀の流れも独特で、まずは火葬を行ってから通夜、告別式を行う地域があるという。
 長崎県では、故人の衣服を裏返しにし、水をかけて吊るしておく風習がある。おもに諸島部に伝わる習わしのようだが、水には清める意味があり、けがれを祓う意味が込められているのではないかといわれている。同様の風習は、関東の一部の地域でも見られることがある。

 首都圏では、埼玉県秩父地方の水引が独特だ。一般的には白黒で、表書きは「ご霊前」とするものだが、秩父では通夜のときに、紅白の水引を使って「お見舞い」として渡すこともある。
 これはめでたいからというわけではなく、お見舞いに行けずに申し訳なかったという意味が込められているそうだ。非常に珍しい風習だと思うのだが、新潟県などほかの地域でも見られるのが興味深い。

 葬儀という場にめでたいとされる品が出ることは、ほかの地域でもある。それは、福井県の赤飯だ。大往生をまっとうした祝い、不幸から幸福へ転じるためなど諸説あるが、初めて目にしたときには驚いてしまいそうだ。
 ほかにも、清め塩とともに糠や鰹節をかける風習があったり、墓地へ行く際にお金を撒いたりと、ひとくちに「葬儀」といってもさまざまな風習がある。さらに、宗教や宗派によっても異なるため、驚くような習わしに遭遇することがあるかもしれない。故人を弔うためにも、参列する際は相手方の習わしなどを調べておいたほうがよさそうだ。
 

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