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WBCで日本野球の存在感を示す。巨体に似合わぬ人見知りの「日本印」が活躍中

メキシコ代表で活躍する楽天・アマダー。その他、NPB在籍外国人選手活躍中

鮮烈な活躍を見せた楽天・アマダー

写真は昨年の強化試合で中田翔とたわむれるアマダー。

 強烈な打球が、低い弾道を保ったままレフトスタンドに突き刺さる。

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次ラウンド。初戦のイタリア戦で、メキシコ代表の5番、ジャフェット・アマダーが豪快な打撃を魅せた。
 2-1で迎えた4回。1死からイタリアの2番手、チアゴ・ダシルバの真ん中に甘く入った低めのチェンジアップを鋭いスイングで救い上げると、打球は瞬く間にレフトスタンドに消えた。4-4の5回にも2死一、二塁から、両手投げ投手のパトリック・ベンディッテから(アマダーとの対戦時は右投げ)、得点機を拡大する安打をレフト前に放った。

 この試合でのアマダーは、4打数2安打1打点、1本塁打。チームはイタリアにサヨナラ負けを喫したが、中軸としての仕事をしっかり果たしてみせた。

 やはり、日本での経験が生かされている。言うなれば「日本印」。アマダーのパフォーマンスは、同時に日本のレベルの高さを証明していることにも結び付く。

 生みの苦しみ。アマダーは日本での苦難を経て、進化を遂げた。

 2015年、メキシカンリーグで41本塁打、117打点をマークしMVPにも輝いた。193センチ、135キロ。その恵まれた体躯は、楽天移籍時に「NPB史上最重量選手」として大きな注目を浴びた。

 満を持しての来日。だが、3月のシーズン開幕前に左手首を故障したことによって、アマダーの打撃に狂いが生じた。5月に復帰を果たしたものの、期待されるパフォーマンスには遠く及ばず、再び左手を負傷。ファームでのリハビリと再調整を余儀なくされた。

 アマダーが当時の自分を、このように回想していた。

「バットを振れないもどかしさは正直あったよ。チームの勝利に貢献するために日本へ来たのに、2軍ではランニングとトレーニングバイクを漕ぐことくらいしかできなかったからね。もしかしたら、自分に対して苛立っていたのかもしれない。でも、あの時期があったから、冷静に見つめ直すことができたよ」

 言うなれば「怪我の功名」だった。

 故障によってプレーできない代わりに、日本の野球を研究することができたからだ。

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田口 元義

たぐち げんき

1977年福島県生まれ。元高校球児(3年間補欠)。ライフスタイル誌の編集を経て2003年にフリーとなる。Numberほか雑誌を中心に活動。試合やインタビューを通じてアスリートの魂(ソウル)を感じられる瞬間がたまらない。現在は福島県・聖光学院野球部に注目、取材を続ける。


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