邪馬台国=ヤマトは間違い? 地形に見るヤマト建国の歴史 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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邪馬台国=ヤマトは間違い? 地形に見るヤマト建国の歴史

シリーズ「ヤマト建国は地形で解ける」⑩

ヤマト建国!取り残される北部九州勢力

 ヤマトに鉄を渡すまいと出雲を抱き込んだ北部九州だったが、出雲とタニハの間に展開された日本海の主導権争いが、奇妙な結末を招き寄せた。ヒョウタンから駒の形で、畿内や近江、東海の発展を促したのだった。そして、出雲や北部九州に対抗し、牽制するための最良の策は、ヤマトの盆地をタニハと近江と東海が占領することだ。纒向に集まった外来系の土器のうち東海、近江の土器が過半数を占めていた意味が、これでよく分かる。
 ヤマトの発展を恐れた北部九州の野望は、これでくじける……。
 そして、タニハが主導した「ヤマト建国策」に慌てたのが、吉備だろう。距離的に近かっただけではなく、地政学的に見て、吉備がいくら発展しても、ヤマトを攻めることはできず、逆に、いずれヤマトにのみこまれてしまう。
 ならば、タニハや近江、東海がヤマトにしっかりとした基盤を築く前に、ヤマトに乗り込み、ヤマト建国の主導権を握るべきだ……。
 だからこそ、ニギハヤヒは早々と北部九州+出雲連合を見限り、ヤマト
建国に参画したのだろう。そして、出雲は、北部九州とつながりつつも、ヤマトに馳せ参じた。
 そして、取り残されたのが、北部九州だった……。
 これが、地形から見えてきたヤマト建国の歴史である。

『地形で読み解く古代史』より構成】

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関 裕二

せき ゆうじ

 



1959年生まれ。歴史作家。仏教美術に魅了され、奈良に通いつめたことをきっかけに、日本古代史を研究。以後古代をテーマに意欲的な執筆活動を続けている。著書に『古代史謎解き紀行』シリーズ(新潮文庫)、『なぜ日本と朝鮮半島は仲が悪いのか』(PHP研究所)、『東大寺の暗号』(講談社+α文庫)、『新史論/書き替えられた古代史』 シリーズ(小学館新書)、 『天皇諡号が語る 古代史の真相』(祥伝社新書)、『台与の正体: 邪馬台国・卑弥呼の後継女王』『アメノヒボコ、謎の真相』(いずれも、河出書房新社)、異端の古代史シリーズ『古代神道と神社 天皇家の謎』『卑弥呼 封印された女王の鏡』『聖徳太子は誰に殺された』『捏造された神話 藤原氏の陰謀』『もうひとつの日本史 闇の修験道』『持統天皇 血塗られた皇祖神』『蘇我氏の正義 真説・大化の改新』(いずれも小社刊)など多数。新刊『神社が語る関東古代氏族』(祥伝社新書)



 


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