「カーブは投げるな」。WBCで野球の「世界基準」を象徴するドミニカのベテラン
野球解説者・建山義紀が注目する元チームメイト・ベルトレ
野球解説者・建山義紀氏に聞く「野球の見方」。
WBCで注目してほしい「世界基準」の選手とは?
WBCで注目してほしい「世界基準」の選手とは?
「カーブは投げるな」規格外の選手・ベルトレ
今回のワールドベースボールクラシック(WBC)には、僕がメジャーリーグでプレーしていた時代、ともに戦ったチームメイトがたくさん選出されています。その中でぜひ見てもらいたいのがドミニカ共和国代表のエイドリアン・ベルトレ選手(テキサス・レンジャーズ所属)です。今年38歳を迎えるベテラン選手ですが、現在もメジャーの第一線で活躍するスラッガー。メジャー通算本塁打数は445本塁打。昨シーズンも打率3割を超え、32本塁打を記録しています。
僕が彼を推したい理由、そのひとつは人格者であるということ。僕自身、何度も話をさせてもらいましたが、いつも素晴らしい人柄だなあと感心させられました。見た目から「気性が荒い選手なんですよね?」と言う人がいましたが、全く違います。アメリカでも敵・味方チームを問わずリスペクトされている選手なのです。
推したい理由のもう一つは彼が「世界基準」を体現している選手であるからです。打撃だけでなく守備も非常にうまい選手で、総合力が高い。
まず打撃。
もし僕がスコアラーで、ベルトレと対峙しなければならないとしたら「カーブは投げるな」と指示をします。彼は打席の中で独特の読みをしていて、その心理はなかなか読みにくい部分があるのですが、速球系を待っているときに遅い球、カーブなどが来てもしっかり対応できる能力がある。
しかも「ピタっ」と体が止まるんです。そして最終的には右膝を地面につけるようにして打つ。豪快なスイングに見えますが、その前の「狙っていない球でもピタっ」と止まり、膝が地面についてもフルスイングできるところは高い技術を持っていることをうかがわせます。
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