ビートたけし、池上彰、安倍首相……著名人が続々登場する幸福の科学の「守護霊インタビュー」とは?
【幸福の科学】を宗教学者・島田裕巳氏が徹底解説2/3
●ある意味で先進的? スピード出版が可能なワケ
トオル…幸福の科学から出ている本といえば、清水富美加さん、というか千眼美子さんの告白本も大きな話題になっていたよね。
シズカ…気になったのが、その出版スピード。引退発表から出版までの時間が短すぎることから、「幸福の科学は、数か月も前から仕組んでいた」なんてコメントもあったわ。
島田…ネットで言われているような出版スピードの件については、少し冷静になる必要があります。幸福の科学出版の関係者が言っている話ですが、通常の出版スケジュールとは違うようです。
トオル…今回のような告白本ができるまでには、普通はライターさんによるインタビューや原稿の構成、執筆、編集者のチェックが必要だよね。そこから原稿の修正や本人のチェックを経て作られていく。基本的には数か月のスパンがかかるよね。
島田…幸福の科学がタイトなスケジュールで出版する際には、構成を大まかにしたり、校閲しないこともあるようです。そして、まずは500部ほど製本して手作業的に大手書店に持ち込むことで“スピード出版”を可能にしているそうです。その500部が店頭に並んでいる間に、細かい修正などを行い、後日増刷分として出版するというやり方もあるそうです。
トオル…普通の出版社が行っている製作の工程をかなりショートカットしているってことですね。
島田…そうですね。ですから、今回の告白本のタイトな出版スケジュールは物理的には可能です。今後、千眼美子さんが広告塔になっていく可能性は高いですが、出版までの早さに陰謀があると思っている人はこの事実を踏まえておいたほうがいいですね。
トオル…幸福の科学にとってメインの活動となる守護霊インタビューですけど、実際に聞くことはできるんですか?
島田…泉岳寺にある東京正心館で行われ、公開もされていますから信者の人は聞くことができますよ。この守護霊インタビューですが、エンターテイメントとしての要素が強いですね。
シズカ…それはどういうことですか?
島田…守護霊インタビューでは、守護霊の前世も探求されるようです。そのときに、守護霊はしぶってなかなか自分の正体を明かさないんです。守護霊は大川総裁に乗り移っていますから、インタビュアーがいろいろな聞き方で正体を探ろうとする、守護霊が抵抗して、最後は正体を明かす。それが信者たちからするとまるでショーを見ているような感覚なんでしょう。
トオル…なるほど、プロレスみたいなことですかね。
島田…そうとも言えますね。こういった部分は他の新興宗教と比べても新しい部分。強いエンターテイメント性に惹きつけられて信者になった人も結構な数いるようです。
(第三回につづく)※「BEST T!MES」にて3月26日(日)18時公開予定です
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