ヤマト運賃値上げ、高い再配達率、「アマゾンリスク」。その根本的問題とは?
【宅配・物流崩壊】を物流コンサルタント・角井亮一氏が徹底解説1/3
●アマゾン=悪者はちょっと違う
シズカ…今回の件に関して「そんなに大変なら、ヤマト運輸はアマゾンと契約を切ればいいのに」という意見も見られたわ。
角井…実際に、宅配業者大手の佐川急便さんは2013年にアマゾンさんとの契約を切っていますよね。しかし、ヤマト運輸さんの宅配個数のうち、アマゾンさんは15%を超えています。またアマゾンさんも高い品質のヤマト運輸さんを評価していますので、お互いなくては困る存在でもある。加えて、ヤマト運輸さんは今回の値上げ報道で株価が上がりましたが、反対に「アマゾンとの契約を切る」となった場合、株価はどうなるでしょうか?
トオル…う~ん「ネット通販の需要はこれから上がる」と言われているから、普通に考えると落ちてしまうのかな。
角井…そうですね。ネット通販の成長はまだまだ期待されていますし、宅配業者はその成長を取り込むことが企業の成長にもつながる。そのなかで、ネット通販の象徴的なプレイヤーであるアマゾンさんと契約を切るというのは大きな反発が予想されます。
シズカ…でも、アマゾンの配達が多すぎるのも事実よね。何かしらの手を打つことはできないのかしら。
角井…ヤマト運輸さんは、角井が知る限り、過去に3回ほど、アマゾンさんと値上げ交渉を行っています。いずれも値上げできていますから、今回も上手くいくと思いますね。意外と知られていませんが、アマゾンさんはヤマト運輸さん以外の宅配業者とも契約を結んでいます。数はヤマト運輸さんが圧倒的ですが、例えば日本郵便さんとも契約していますからね。もともとは日本郵便さんのほうが先に契約をしていました。
シズカ…ヤマト運輸と専属契約しているわけではないのね。
トオル…なんかネットの反応を見ていると「アマゾン=悪者」みたいな意見も見かけたなあ。
角井…仮にアマゾンさんとの契約を切っても、ネット通販の需要は年々高くなっています。アマゾンさん以外にもネット通販は多く利用されていますし、みなさんも楽天さんやZOZOTOWNさんを利用しますよね? 前提として我々自身がネット通販を選んでいるということを忘れてはいけません。まあ、良くも悪くもネット通販ではアマゾンさんが象徴的な存在になっていますよね。
シズカ…むむ、まず大きいのは私達消費者が通販を「選んでいる」ということよね。そう考えると、むやみにアマゾンを叩くのはナンセンスということね。
(第二回につづく)※「BEST T!MES」にて3月31日(金)18時公開予定です
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