社会問題となりつつある、宅配・物流の疲弊。物流のプロが提言がする4つの解決策とは?
【宅配・物流崩壊】を物流コンサルタント・角井亮一氏が徹底解説 2/3
●「ウケトル」などのアプリを使えばかなり快適に!
シズカ…ヤマト運輸が抱える問題はわかったけど、時間帯の変更や運賃の値上げをしてもすべての問題が解決しそうにないわね。根本的に解決するための具体的な方法が気になるわ。
角井(角井亮一:物流コンサルタント。著書に『アマゾンと物流大戦争』など)…率先して取り組むべきは再配達を減らすこと。私は4つの解決策が有効だと思っていて、1つ目はアプリや電話の活用です。
トオル…あっそう言えば、「クロネコメンバーズ」というサービスの案内を見た記憶があるなあ。LINEの公式アカウントでも使えるようになっていて、受取時間の変更ができたり配達時や不在時にメッセージが届くんだよね。
角井…再配達を減らすためには、配達する側が受取人が確実に在宅している時間を把握していることが非常に重要です。電話で確認してもいいですが、仕事中にかかってきてもなかなか出られないですからね。
シズカ…それに知らない番号からかかってくるのは抵抗があるわ。
角井…その点、クロネコメンバーズはウェブやアプリ上から利用することができます。また真面目に宅配のことを議論している宅配研究会が提供している「ウケトル」というアプリも便利です。アマゾンさんや楽天さんのアカウントと連携することができ、荷物の自動追跡や荷物の場所をリアルタイムで通知する機能も搭載しています。
トオル…他の解決策にはどんなものがありますか?
角井…2つ目は住居に宅配ボックスを設置すること。ある程度の規模があるマンションではすでに設置されていますが、築年数が古めマンションだとボックスの数が少なかったり、そもそも設置されていなかったりします。
シズカ…私の住んでいるマンションには宅配ボックスがついているけど、本当に便利だわ。
トオル…僕は結構年季の入った団地に住んでいるんだけど、正直設置されるイメージがわかないあ。
角井…宅配ボックスがもっとも効果的な解決策だと思いますが、なかなか普及しないのが現状です。特に古いマンションの大家さんはなかなか率先して設置しようとはしません。本当は行政が何らかの助成を行うべきだと思いますが、ハードルはかなり高いですね……。
シズカ…宅配ボックスが街中にできるというニュースも見た記憶があるわ。
角井…はい、2016年に首都圏の100駅に宅配受取ロッカーが設置されました。例えば、ヤマト運輸は「PUDO(プドー)」というサービスを発表し、2022年度内に5000台の展開を目指しています。このような駅や公共施設の宅配受取ロッカーが3つ目の解決策ですが、大きな問題点もあります。
トオル…良いニュースに思えるけど、何が問題なんだろう?
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