「中村」さんにはリーダーの素質あり? 姓のルーツを紐解く
全国名字ランキングBEST10のルーツを解説! 第8位「中村」さん
武家になった中村も多く、全国に均一に分布する
中村は村の中心に暮らしたリーダー的な一家が名乗る場合が多かった。中村は地形由来だが、地名由来でもある。
「中村という地名は全国でもっとも多いという説があり、中村に居住した人がこの名字を名乗った例も多くあります。地名・地形由来の名字は一般的に西日本に偏重する傾向がありますが、中村は別。九州から北海道までまんべんなく存在しています」と姓氏研究家の森岡浩さんは『一個人』4月号の中で話す。
大阪府東大阪市菱江には、中村連の祖先である己己都牟須比命を祭神としている仲村神社があり、その周辺には現在でも多くの中村姓が見られる。
関東では、平安時代から鎌倉時代にかけて繁栄した武士団であり、武蔵七党のひとつに数えられる「丹党」の中村氏がいる。丹党は産銅などの地下資源に深く関わった一族と考えられている。
農村由来の中村だが、じつは上位の山本よりも武家の比率が高い。家紋研究会会長の高澤等さんによると「中村に多い家紋は鷹の羽で、これは矢羽、武家の象徴です」。その他には、「丸に剣片喰」「丸に梅鉢」などが多い。
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(監修)
名字監修
森岡浩さん
1961年高知県生まれ。姓氏研究家。早稲田大学政治経済学部卒業。文献だけにとらわれない実証的な研究を続ける。著書に『なんでもわかる日本人の名字』(朝日新聞出版)、『全国名字大辞典』(東京堂出版)など。
家紋監修
高澤等さん
1959年埼玉県生まれ。日本家紋研究会会長、家系研究協議会理事。全国各地の家紋の収集や統計的な研究を続ける。著書に『家紋の事典』『苗字から引く家紋の事典』(ともに東京堂出版)など。