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「❶飛沫❷接触❸空気」感染を理解して感染経路を防御する【岩田健太郎教授・感染症から命を守る講義⑬】

命を守る講義⑫「新型コロナウイルスの真実」


感染症から命を守るための原理原則は、変わらない。この原則を体に染み込ませる決定版。感染症専門医の第一人者・岩田健太郎神戸大学病院感染症教授の最新刊『新型コロナウイルスの真実』をもとに現在の感染者が急増する緊急事態に対し、私たちが「今、できる対策」を連続講義いただいた。「新型コロナウイルス感染症」から自分と家族、人々の命を守るために、今、私たちは何をすべきか。第13回目は「飛沫・接触・空気」感染の基礎を学びます。


◼️飛沫感染と接触感染

 今回のコロナウイルスも、「新型」とはいえコロナウイルスに変わりはありませんから、感染経路は従来のコロナウイルスとまずは同様だと考えられます。メインの感染経路は二つ。

 ①飛沫感染②接触感染です。

 「飛沫感染」とは、簡単にいうと水しぶきのことです。

 くしゃみとか咳とかに乗じて、口や鼻の中の水分が水しぶきになって拡がる現象のことで、飛距離は大体2メートルぐらいです。2メートルぐらい飛んでいくと、あとは重力に従って落ちてしまいます。この飛沫の中にウイルスがいて、吸い込んだ人に感染するわけです。これが感染経路その1です。

 感染経路その2「接触感染」とは、落ちた飛沫に触れることで起こる感染です。飛沫が落ちた後、そこに含まれるウイルスはテーブル、電話、パソコンのキーボードみたいな人が触れるところにくっつき、消毒をしないと数日間(異論はありますが、最大で1週間から9日間くらい)生き延びます。その場所を手で触ると手にウイルスがくっつきますね。そしてウイルスの付いた手で目をこすったり、鼻を触ったり、ものを食べたりしてしまうと、ウイルスに感染してしまいます。

 他に例外的な感染経路もあるんじゃないかとはいわれてますが、これはほとんど気にしなくていいでしょう。

 よく心配されるのは「母子感染」、つまり、妊娠しているお母さんから胎盤を伝ってお腹の中の子供にうつることですが、今のところ、これはほとんど起きないといわれています。妊婦さんへの感染自体は何例か事例がありますが、胎内の子供への感染は起きてないことが分かってるので、気にしなくてよいでしょう。

 もっとも、妊婦の感染がどのくらい重症化をもたらすかはよく分かっていませんし、妊婦が重症化したら子宮内胎児死亡のリスクも高いので、妊婦への感染防御は極めて重要です。

 それから「空気感染」という言葉をよく聞きますけれど、今回のウイルスではこれもほぼ起きないだろうといわれてます。

 

 

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岩田健太郎医師・著

 

 

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岩田 健太郎

いわた けんたろう

1971年、島根県生まれ。神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授。神戸大学都市安全研究センター教授。NYで炭疽菌テロ、北京でSARS流行時の臨床を経験。日本では亀田総合病院(千葉県)で、感染症内科部長、同総合診療・感染症科部長を歴任。著書に『予防接種は「効く」のか?』『1秒もムダに生きない』(ともに光文社新書)、『「患者様」が医療を壊す』(新潮選書)、『主体性は数えられるか』(筑摩選書)など多数。


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