「期待してるよ」と言われるのは、いままでの仕事ぶりを評価されていない証拠
上司も部下も必読。「残念な人」の口ぐせ⑥
■実感の伴わない励まし「期待してるよ」
~実は「イマイチ」だと思われている~
これまで意外と反響が大きかったのが、この「期待してるよ」だった。
言われた方はそのまま受け止め、せっかくいい気分でいたのに水を差されという人が多かった。
一方、上司の側からは、「私も口にすることが多かったが、たしかに言葉どおりに本気で言ったことがあったかどうか」というのだから、私の分析は間違っていなかったのである。
この「期待してるよ」は、上司が部下に何か大きめの仕事を依頼するときに使う。この言葉を真に受ける人も時にいるが、私はちょっと単純すぎるのではではないかと思う。
上司が「期待してるよ」と言うときは、本当は不安なのである。必ずしも楽しみにしている、ワクワクしている、というわけではない。
「いままでの仕事ぶりには満足していないけど、次回はうまくやってくれよ」的なニュアンスが込められているということだ。
親と受験生を思い浮かべてみると分かりやすい。
100パーセント合格間違いなしの子どもを試験に送り出すときに「期待してるよ」とはまず言わない。
しかし、いまひとつ成績が振るわない子どもにカツを入れるために、「期待してるよ」というのはわかる。
あるいは仕事の場面では、部下が犯した失敗についてひととおり話し合い、部下が「すみません」と謝ったあとに、上司が「なに、たまたまだよ。次はちゃんとやろう。頑張って。期待してるんだから」などと励ますときに使う。
しかし、ピカピカのエースが失敗したときには言わない。
もし部下からイメージどおりの成果が出てくることを確信しているのであれば、単に「お願いします」「待ってます」と言うはずだ。
くだけた感じなら「頼む!」もあるだろう。そう言われたら返事は「分かりました」となる。
一方、「期待してるよ」の返事は「がんばります」だろう。
前者の会話における返答は、明確なアウトプットを出すことを約束している印象があり、強い。
一方、後者はただ「努力します」と答えているに過ぎず、弱い。
もしあなたがいつも「期待してるよ」を言われているとしたら、上司があなたに関してイマイチだと考えている点を把握し、改善しよう。
また、あなたが上司の立場で「期待してるよ」と言いがちなことに気付いたら、別の表現を使ったほうがよいだろう。
【『残念な人の口ぐせ』より構成】