「だいたい」「かなり」「けっこう」「まあまあ」は残念すぎる言葉
上司も部下も必読。「残念な人」の口ぐせ⑦
■責任回避の小学生の作文「だいたい、かなり、けっこう」
~余計な混乱を招くだけの受け答え~
質問をすると「だいたい」「かなり」「けっこう」「まあまあ」など、あいまいにしか答えられない人がいる。
たとえば新規取引先との契約の進捗を尋ねると、「だいたい終わってます」と言う。「だいたい、ってどういうこと?」と質問すると、要領を得ない。そこで、一つひとつ確認すると、実は全部終わっていたりする。
結果はよかったのだが、まったくもって余計な混乱を招く受け答えである。
あるいは、「今月出した新商品ってどれくらい売れてるの?」と聞くと、「けっこう出てます」などと答える。
訪問してきた営業マンの話を聞いていても、よくわからないことがある。
「この販促ソリューションをお願いすると、どれくらい効果があるんですか?」
「ええ、かなりの効果が期待できます」
「我々の業界でどれくらい導入されてるんですか?」
「そうとうご利用いただいております」
「導入に当たって注意しておくべきことはありますか?」
「特にありません」
「……」
小学生の作文などを見ても、「これからは大きな声で挨拶をします」と言うべきところを、「挨拶をするようにしたいです」などと書く子どもが多い。
はっきり言い切らないのは、子どもだけではないようだ。社会人の口からも「気をつけるようにしたいと思います」という話し方をよく耳にする。
また、アメリカでも「最近は……○○的な(something like…)」という表現が増えているそうで、あいまいに話す傾向は日本だけではないようだ。
しかし、仕事の現場では混乱を招くだけである。
特に、すべて/一部/ゼロで分類できることや、数字で表せることは、はっきり示さなければならない。
契約の手続きが終わっているなら、「完了しました」「すべて終わっています」など。一部終わっていないならば、「先方の謄本を取得すれば完了です」など、終わっていない部分を具体的に示す。
「新商品売れてるの?」という質問に対してなら、「計画通りの進捗率です」「すでに20パーセント消化しました」といった具合だ。
質問する側が工夫する
あいまいに答えがちな相手には、聞く側のスキルで補うことができる。
「どうなってる?」などのオープンクエスチョンではなく、YES/NOや数字で答えられる質問にすればよい。
「契約の手続きは終わった?」、「この販促ソリューションは過去の実績で平均何パーセント程度の効果がありましたか?」などと質問する習慣をつけるとよいだろう。
あるいは、いきなり聞かれてもパッと数字が出てこないこともあるし、準備に時間がかかるようなこともあるだろう。その場合には、こちらから何を聞きたいのか、その基準を示すと、知りたい情報がスピーディーに得られることが多い。
「新商品はけっこう出てます」という答えが返ってきたら、さらに「計画より上? それとも下?」や「消化率30パーセントは超えてる感じ?」などと、質問すれば、相手にも自分が聞きたいことのイメージが伝わるだろう。
また、営業マンなどは、後々のトラブルを避けたり、交渉を有利に進めたりするために、わざと曖昧に答える場合がある。
そのときには、「うちの業界で導入者数は10社超えてますか」と尋れば、その情報を持っている営業マンならばYES/NOで答えてくれるだろう。あるいは、購入のための予算を知りたいのであれば、「100万円、500万円、1000万円のレンジがあるとすると、どのあたりですか?」と尋ねれば、金額のイメージをつかむのに十分な答えが返ってくることが多い。
とはいえ、状況によっては注意が必要だ。
以前の職場で、部下が問題に対する解決策を提案すると、「本当にそれがベストの解決策ですか?」という口グセを持つ上司がいて、かなり嫌がられていた。
上司自身はコーチング的にやっているつもりなのだろうが、部下としては責任を押し付けられている気がして、なかなか「はい」とは答えづらい。
つい、「現時点では大丈夫だと思います」などとあいまいに答えざるを得ない。
このことから、部下があいまいに答える傾向にあると感じる人は、自らの質問のしかたや、普段の部下との接し方などを振り返る必要がありそうだ。
【『残念な人の口ぐせ』より構成】