コロナDVはなぜ多い? いかに回避するか【久瑠あさ美メンタルトレーニング】
久瑠あさ美の「コロナ禍以後をいかに生きるか」Vol.1
コロナ禍によって、それ以後の生活スタイルや、働き方、生き方までも変わろうとしている今、この不透明な時代に対して多くの人たちがこれまで以上に大きな不安を抱いています。家庭内DVの増加、鬱症状による心身の不調、またこれから生きていくことに自信さえも無くしてしまった、などという人たちも多くいます。今後、自分たちを取り巻く世の中もさらに不安定なものになっていくことが予想されています。しかしそれでも、今回のウイルス禍を「自分と向き合い、自分の在り方やこれからの生き方を見直すきっかけ」ととらえら直せるかどうかが大切だと考えています。ならばどうやってこの逆境を乗り越えられるのか? どうしたらより良く生きることができるのか? 数多くの著名人たちから支持を受けているメンタルトレーナーの久瑠あさ美が、初めてYouTube動画と連動してお送りするメンタルトレーニングの実践現場を公開。久瑠式メンタルトレーニングのノウハウを余すことなく披露した集中連載として同時連載していきます!(聞き手:弊社編集・鈴木康成)
【この動画のポイント】
●DVは他罰的な習性
●感情が溢れかえるとDVになる
●普段から感情をメンテナンスする
●想像力を働かせて乗り越える
*まずは以下の映像をご覧ください。
https://youtu.be/IVesFV7Bmss
◾️ なぜコロナ禍でDVが増えてしまうのか
鈴木)——コロナ禍の中で、DV(Domestic Violence:家庭内暴力)が増えているということですが。
久瑠)——肝心なことは家庭内で、ひとつの場所・ひとつの時間に密集することがこれまで以上に起きているということです。これがストレスの原因になっているんですね。
元々DVがあった家庭でなくても、こういうタイミングの中で起きているとするならば、やっぱり自粛のストレスに依るところがすごく大きいでしょう。
そのストレスの原因は、「慣れ親しんだ生活ができてない」ことです。
今まで何気なくやってたこと……会社や仕事に関してもそうですし、先行きが見えない中で、いろんな不安感があって、心に摩擦のようなものが生じてると思います。
そもそも「DV傾向」とは、「他罰的な習性」です。
不安に直面した時の行動パターンとして、自分自身を責める自傷的なパターンと、自分以外の何か……例えば周囲の人に当たる他罰的なパターンがあるんです。
DVというのは、ある意味ひとつの局面であって、それが表面化する以前にはストレスや不安の増加が先立つんです。人の感情が爆発する時は、ビーカーの水が溢れ出る瞬間と同じで、瞬間的にふわっと溢れでてしまう。
自分の理性で止められなくなってしまい、それまで優しかった家族がいきなりDVに走ることになる。蛇口でいうと、これまでキュッと締まってたように見えていたものが勢いよく出てくるので、周りの人の衝撃も大きいと思います。
でもDVをしてしまった側も、「これからも家族として一緒にやっていく」という心づもりで自分自身を見ていかなければいけない。「ストレスが大きいから仕方なかったんだ」と一時の問題にしないで、あくまで根本的なところの見直し・修繕が必要になってくると思います。
鈴木)——DVしてしまう側には「自分の心を何とかコントロールしたい」と思う人もいるでしょうし、逆にDVされる側は、自分の気持ちをどうコントロールしていったらいいのか、この問題にはその両方の側面がありますね。
久瑠)——コロナ禍以前からDVをする傾向にあった方がより重症化・より酷くなっているケースと、「まったく普通に暮らしていた優しかった旦那さん」が突然キレる、これまでになかったストレス性によって物や人に当たったりしているケースは、大きく分けて捉えた方がいいと思います。
その上で、なぜ感情の爆発が来るかというと、「自分ではコントロールできない領域」があるからです。
普段は自分の感情に関して、「蛇口をひねれば水が流れてくる」みたいにある程度調整ができているものです。
それが、あるところから「蛇口をひねっても止まらなくなってしまう」。感情に飲み込まれてしまう、感情に溢れ返ってしまう、「感情そのものになってしまう」状態になった時、家族の間でDVになってしまうんだと思うんですね。
だとしたら、それを周りの人がコントロールできるかというと、一度そうなってしまうと手強いわけです。端的に言えば治療が必要ということになる。水道管で言えば「プロの配管工さんにお任せするしかない」という状況です。
だから私たちにできることは、やはりその手前で対処しておくことだと思います。
感情がぽつぽつと溜まっていくのが透明なビーカーであれば、周りから見ても「いまストレスが溜まっているから、溢れかえりそうになる前にケアしてあげよう」ということが分かると思うんです。
でも現実はそうではなく、周りには分からない部分もあります。そうなると「出す側の問題」として捉えるべきで、本人が自覚をもってケアしていくことが重要になるんです。
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