世界一の歴史を持つ皇室は、はかりしれない日本の財産
あらためて理解したい唯一無二の日本の財産
天皇の存在が日本の外交にもたらすプラスの効果は、計り知れない
みなさんは日本の皇室が「現存する世界最古の王室」だということをご存じでしょうか。
『日本書紀』の記述に基づけば、皇室の祖・神武(じんむ)天皇が即位して日本を建国したのが紀元前660年2月11日(これが建国記念日の由来です)のこと。ご存じの通り、皇室は万世一系ですから、じつに2600年以上もの歴史をもっていることになります。
もちろん、これはきっぱりと史実であるとはいい難い建国神話に基づく計算なので、歴史学的には定説ではありません。皇室について確実にさかのぼれるのは4~5世紀頃まで、すなわち1600年ほど前までだといわれています。
しかし、いずれにせよ、同一系統の王室が断絶することなく1000年以上続いている例は、世界的に珍しいという事実に変わりはありません。 日本に次いで長い歴史をもつデンマーク王室でさえその歴史は1000年余り、3番目のイギリス王室は誕生してから950年ほどです。
つまり、皇室は世界史上においても稀有な存在なのです。
そんな世界一の歴史をもつ天皇と会見する際には、各国の首脳や王族でさえも最高級の敬意を払うのが国際社会の通例になっています。
アメリカのオバマ大統領が2009年に初来日した際には、今上天皇(現天皇陛下)に深々とお辞儀をして敬意を表したことが世界で大きく報じられました。
また、イギリスからは同国の最高勲章であるガーター勲章が明治天皇以降の歴代天皇に贈られています。
なお、現在存命中の受章者のうち、非キリスト教徒なのは今上天皇だけです。
さらに、昭和天皇の大喪の礼(葬儀)や、今上天皇の即位に際して、世界各国のトップクラスの要人が来日しているのも、天皇に対する敬意の表れにほかなりません。
反対に天皇が自ら諸外国を訪れることも多々ありますが、天皇の外遊は日本の国際親善に大いに貢献しています。
このように、天皇の存在が日本の外交にもたらすプラスの効果は、計り知れないものがあるのです。
いっぽう、国内に目を向ければ、皇室関連の経済効果もまた小さくありません。
皇室関連の出版物は景気に左右されない一定の需要がありますし、今上天皇が出席されるイベントには多くの人が集まり、地域の活性化にもつながっています。
しかし、それ以上に注目すべきは、日本のアイデンティティを形成しているといっても過言ではない、皇室の歴史的・文化的な価値です。
当然ながら、それは「万世一系」の長い歴史を通じて育まれてきたものであり、一度失われると、もはや取り戻すことなどできません。
いい換えるならば、皇室が国内外にもたらす経済効果(国際政治上のプラスの効果なども含む)は計り知れない半面、お金の力で皇室のような歴史的・文化的背景をもつ存在を生み出すことなどできないのです。
それは、歴史や文化がお金で買えないのと同じことです。
わたしたちはここでことさら皇室をもち上げているわけではなく、冷静に考えれば誰でも理解できる「事実」を述べているにすぎません。
世界中から敬意を払われる「現存最古の王室」である皇室は、文字通り、唯一無二の日本の財産なのです。