松江英夫「Withコロナ」エコノミーの本質「時間と距離」の制約からの解放——暮らしが変わる3つの論点【『一個人』夏号】
「時間」と「場所」の座標軸の変容
◼︎「Withコロナエコノミー」のもたらすもの
これらの動きは全て、きっかけこそ営業自粛という経済的困窮から脱出のための苦肉の策であった。
しかし、「Withコロナ」エコノミーでは、“有事の緊急避難策”から、残すべき部分は積極的に残し、従来のやり方と融合させて、持続可能なモデルにすることで「平時の生き残り策」に転換する発想こそ求められる。
「時間(昼と夜)」と「場所(外と内)」の座標軸を組みわせて最適なあり方を見出し、ハイブリッドで新しいチャネルを見出し顧客と新しい関係性(エンゲージメント)を結んでゆく。ここに新たな需要の突破口がある。
7割経済とも言われ経済停滞の長期化が予想されるWithコロナの時代。そこでもっとも大事なことは、失地回復への淡い期待よりも新たな需要を作り出す強い想いである。
Withコロナエコノミーは、コロナ禍の制約を経験したからこそ生み出された知恵の数々、その努力を糧にしながら、未来を切り拓こうとする意思がもたらす新たな可能性そのものである。
(次号より「両極化の時代」連載はじまります)
【PROFILE】松江英夫(まつえ・ひでお)
デロイトトーマツグループCSO(戦略担当執行役)。中央大学ビジネススクール、事業構想大学院大学客員教授。フジテレビ『Live News α』コメンテーター。専門は経営戦略・組織改革、経済政策。著書に『自己変革の経営戦略』(ダイヤモンド社.2015年)など多数。次回【両極化の時代】をテーマに連載開始。
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