日本の経営者はコロナ便乗リストラしている場合じゃない
世界の支配層(の代理人たち)が道徳を唱え始めたほど世界は危機に瀕している
コロナ危機があぶり出したものに、日本の経営者の無能さが挙げられるだろう。ではなにが、どう無能なのか? 会社員はもとより、企業幹部は必読の内容。著書『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』で世間の真実を暴き、生きる糧を説いた著述家・藤森かよこ氏(福山市立大学名誉教授)が、日本のコロナ便乗倒産の真実と、日本の未熟な経営者のお粗末さを暴露する!
■世界支配層御用達機関と御用学者が奇妙に道徳的になってきた
世界経済フォーラムにしろ、国連にしろ、世界支配層の御用学者にしろ、最近は、やたらにまともなことを言うようになってきたと私は感じている。
今までも、国際機関や御用学者たちは、いかにも立派なことを言ってはきた。しかし、私には、彼らの言葉が偽善臭を発散しているように感じられた。最近は、彼らの発言に「真摯さ」を感じるようになってきた。
それだけ、国際社会が危機に瀕しているということなのだ。少なくとも、今までの資本主義体制では地球も人類も存続できそうもないという認識は彼らに共通しているようだ。まだ宇宙空間には安全なシェルターが確保できないので、地球や人類が存続できなくなれば自分たちも存続できないとわかってきたらしい。世界は、人類社会は、すべてが影響しあい繋がっている有機体だとわかってきたらしい。
■「資本主義ではなく才能主義へ」と言う世界経済フォーラム会長
世界経済フォーラム会長のクラウス・シュワブ(Klaus Schwab:1938-)は、2021年1月の年次総会(ダボス会議)のテーマのグレート・リセット(Great reset)の意味についてインタビューで問われ、こう答えている(「日本経済新聞」6月4日朝刊)。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO5991529003062020FF8000?disablepcview=&s=3
「世界の経済システムを考え直さないといけない。第2次世界大戦後から続くシステムは異なる立場のひとを包み込めず、環境破壊も引き起こしている。持続性に乏しく、もはや時代遅れとなった。人々の幸福を中心とした経済に考え直すべきだ」と。
「リセット後の資本主義はどうなりますか」という質問に対しては、こう答えている。
「資本主義という表現はもはや適切ではない。金融緩和でマネーがあふれ、資本の意味は薄れた。いまや成功を導くのはイノベーションを起こす起業家精神や才能で、むしろ『才能主義(Talentism)』と呼びたい」と。
びっくりだ。世界経済フォーラムの会長が、こんなまともなことを言っている。社会に貢献するモノやシステムや新しいサービスの研究開発に投資せず、労働者の賃金にはカネを出さず、自分を含めた株主への配当金についてのみ考え、企業の売買を繰り返して株価を上げることしか興味のない経営者は時代遅れであると言っているのだ。
■クラウス・シュワブとジャック・アタリの奇妙さ
フランスの経済学者であり、「欧州を代表する知性」とも「フランスのほんとうの大統領」とも言われるジャック・アタリ(Jacques Attali:1943- ) も、世界経済フォーラム会長クラウス・シュワブと同じく奇妙な学者だ。
アタリは、1979年に国際的なNGO団体、飢餓撲滅行動(Action Contre La Faim)を共同設立した。1984年には、新技術開発を旨としたプログラムEUREKAの創立に関わった。1989年には、バングラディシュの洪水被害に対する国際行動計画を開始した。同年には、ロンドンで欧州復興開発銀行(The European Bank for Reconstruction and Development/EBRD)を設立し初代総裁に就任した。1994年には長期的成長を支援する戦略コンサルティング、コーポレートファイナンス、ベンチャーキャピタルを専門とする国際顧問会社Attali&Associates(A&A)を設立した。
1998年には非営利団体のPlaNet Financeを設立した。このPlaNet Financeは、貧しい人々向けに小口の融資や貯蓄などの金融サービスを提供する「マイクロフアイナンス」を普及させることによって世界から貧困をなくすことを目的として設立された。このNPOは2016年にPositive Planetと名称変更。今では500名のスタッフを雇用し、日本を含めた80カ国以上に支部がある。1万人の小規模金融参加者と株主に、資金提供や技術支援やアドバイスサービスを提供している。フランス郊外の貧困問題解決のためにも活動している。
https://positiveplanet.ngo/en/who-are-we/
アタリは、2012年にジュネーブに拠点を置くスイスの仲介業者Kepler Capital Marketsの監督委員会のメンバーとなる。
世界経済フォーラム会長クラウス・シュワブにしろ、このジャック・アタリにしろ、学者離れしたスケールで世界を牽引してきた。彼らは、これだけの組織を設立し運営するための活動資金をどこから調達してきたのだろうか。これだけの組織を運営する人的資源をどうやって確保してきたのだろうか。彼らの活動を広報させるメディアとの紐帯をいかに結んできたのだろうか。
このふたりにはユダヤ人経済学者であること以外に共通点はなさそうだが、ふたりとも、「世界はこう進むべきであり、そのためには、こう動かしていくべきだ」と考える世界の運営に(善かれ悪しかれ)責任感を感じている人々という後ろ盾があることは確かなのだろう。