将来役立つかわからない自己投資って意味ある? 出口治明氏の答え
出口治明さん5月毎日更新 Q.11 投資は投資でも、自己投資についてはどうお考えですか?
好きなことを徹底的に実践することが大切
金融商品への投資と自己投資――。
財産三分法における「投資」には、この2種類があります。
中でも、僕は、「自己投資」を非常に重要なものだと捉えています。なぜなら、自分に投資することは、自分の価値を何倍にも高めることにつながるからです。
そして、その価値を仕事にうまく活かすことができれば、自然と毎月入ってくる給与などのお金が増えるようになる。それによって、日々の生活で趣味や遊びなどにお金を多く使えるようになり、人生をより楽しむことができるというわけです。
先日も書きましたが、財産三分法の「投資」のセオリーは、給与の手取り分の中から、自分にとって“なくなってもいいお金”を充てるというものです。
たとえば手取りがひと月20万円の場合、自分で計算をしてみて、毎月これぐらいあれば生活できるという数字が18万円だったとしたら、残りの2万円が“なくなってもいいお金”に該当します。
では、具体的にどのようなことに自己投資をすればいいのかと言うと、それはもう、「自分が好きなことに投資する」に尽きます。
たとえば、「将来、世の中はこうなるだろうから、これをマスターしておけば、きっと得するのではないか」などと考えてみても、5年先、10年先に何が起こるかなんて誰にも予測できません。
それだったら、将来のことや損得は抜きにして、今現在の自分が好きなこと、やりたいことに、2万円なら2万円を投資したほうが絶対にいいですよね。
語学の習得や資格の取得、パソコンのスキルアップ、料理、ピアノ、習字など、何を選んでも構いません。ただし、その際は、とにかく徹底的に実践することが大切です。
中途半端な気持ちでダラダラ続けて、途中で投げ出してしまったら、投資の意味がありません。投資の基本は長期ですが、何をするにしても身につけるまで続けていってほしいですね。
確かに、自己投資をしていても、それが将来どのように役に立つかは誰にもわかりません。ただ、そうした経験を積むことによって、今よりも賢くなり、人生の選択肢が増えるということは間違いない。
さらには、その先に、自分でも想像がつかない大きなリターンが待っているかもしれません。
人間は、お金を使うだけの存在では決してありません。自分自身にこそ大きな価値があり、投資の対象として、金融商品以上に、圧倒的な可能性を秘めているということを常に頭に入れておきたいものです。