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ライフネット生命会長・出口治明氏「ブラック企業はすぐ逃げろ」

出口治明さん5月毎日更新 Q.24 ブラック企業についてはどのようにお考えですか?

独裁者は死ぬまで独裁者でしかないように、ブラック企業もまた、過重労働やパワハラ、セクハラ、給与未払いなど、経営陣にあるまじき言動をそう簡単に改めることはできない――。ライフネット生命会長・出口治明氏は、ブラック経営者の本質を捉えていた。

自分が求めるスキルを身につけられそうな、新しい環境を見つけるべき

 

 もしブラック企業で働いているとしたら、すぐに逃げ出したほうがいいですね。

 過去の長い歴史を振り返ってみても、独裁者と呼ばれた人たちは、改心することはありませんでした。

 独裁者は死ぬまで独裁者でしかないように、ブラック企業もまた、過重労働やパワハラ、セクハラ、給与未払いなど、経営陣にあるまじき言動をそう簡単に改めることはできないのではないでしょうか。

 人間は嫌な環境にずっと居続けると、健康を害したり、性格が歪んだりと、心身ともに疲弊してしまうものです。だからこそ、そうなる前に、みんながスパッと辞めてしまうのが最良の選択です。

 そうなれば、ブラック企業は次々と倒産していき、自然と淘汰されていくのではないでしょうか。

 なかには、「転職のことを考えると、仕事のスキルを身につけてからじゃないと辞められない」とか「次もまた正社員になれるかどうかわからない」といった理由で、二の足を踏む人がいるかもしれません。

 でも、ブラック企業の内部にいて、働きながらきちんとしたスキルが身につくとはとても思えません。アフター5や休みの日を利用して身につける手もあるでしょうが、ブラック企業に居て、そのような時間を取れるかどうかも疑問です。

 それならば、やはり会社をスパッと辞めて、自分が求めるスキルを身につけられそうな新しい環境を見つけて、積極的に飛び込んだほうがいい。

 たとえ非正規雇用だったとしても、そちらを優先すべきです。正社員のメリットは、①解雇される確率が低い、②給与が少し高い、③厚生年金や健康保険に入れる、などいくつかあります。

 ただ、この3つのメリットを捨てられず、正社員としてブラック企業で働き続けるとしたら、むしろ心身が病んでいくのでマイナスの方がはるかに大きいと思います。

 ましてや、今の時代、正社員でも給与がなかなか上がらず、平均所得も下がっています。ボーナスだって、支給されない職場も多いでしょう。

 そうした中、心身ともに辛く厳しい環境にわざわざ身を置く必要はありません。置かれた場所で咲けなければ、咲ける場所を探せばいいと思います。

 一度きりしかない人生を楽しむためにも、自分にとって正しい判断をしてほしいですね。

明日の質問は「Q.25 保険を検討するときの考え方についてお聞かせ下さい」です。

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出口 治明

でぐち はるあき

ライフネット生命会長。1948年、三重県生まれ。京都大学を卒業後、日本生命に入社。企画部などで経営企画を担当するとともに、生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事する。ロンドン現地法人社長などを務めたあと同社を退職。2008年にライフネット生命保険株式会社を開業した。


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