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欧米発のグルテンフリーダイエット。なんで小麦を抜くと痩せるの?

欧米発のグルテンフリーダイエットを徹底解剖①

テニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチが実践していたことでも話題を呼んだ、グルテンフリーダイエット。まだ日本ではあまり馴染みがないダイエット法だが、そのメカニズムは? 『2週間で体が変わるグルテンフリー健康法』などの著書があり、日本初の栄養療法専門クリニックで院長を務める溝口徹氏への取材をもとにまとめた。(前編)

●「グルテン」の正体

 

 まず、そもそも「グルテン」とは何なのか。

 グルテンとは、小麦などの穀物に多く含まれるたんぱく質の1種。パンやケーキのふわふわ、モチモチ感に関係し、粘りや弾力性をもたらす。「つなぎ」をイメージしてもらうと分かりやすいだろう。

 グルテンは人工的に作られたたんぱく質でもともと地球上には存在しなかった。小麦粉にはグリアジンとグルテニンという2種類のたんぱく質が含まれていて、水を加えてこねると2つのたんぱく質が絡み合い、粘りや弾力性のあるグルテンになるのだ。

 グルテンを含む食材は、わたしたち日本人に馴染みがあるものをあげるとパンやピザ、パスタ、うどん、ラーメン、そば、ケーキ、クッキー、お好み焼き、中華まん、ギョウザ、カレー、衣がついている揚げ物など(詳細は後編で紹介予定)。さらに意外なところでは醤油にもグルテンが含まれているので注意が必要だ。

 グルテンがやっかいなのは、中毒性があること。

「グルテンはわたしたちの消化管の酵素では分解しづらい。それが代謝されてグリアジンという物質になると、そのまま脳の神経細胞のオピオイドレセプターという麻薬のレセプター(受容体)のようなところにくっついて中毒性を作るんです」(溝口氏)。パンやパスタをついつい食べ過ぎてしまう、という人は意志が弱いからではなくこうしたグルテンの性質があったのだ!

 先に出てきたグリアジンのアミノ酸の配列をそれぞれ見てみると、「トリプトファン」「フェニルアラニン」などの間に、「プロリン」というアミノ酸が並んでいる。実はその配列が、モルヒネにそっくりなのだ。私たち人間の体はアミノ酸の配列で物質を認識しているが、「モルヒネと同じものが来た」と認識して中毒症状を引き起こしてしまうのだ。

●グルテンフリー⇒ダイエットのメカニズム

 では次に本題、グルテンフリーとダイエットの関係性に迫りたい。

「グルテンは腸管の粘膜を荒らします。そうするとそこからサイトカイン(主に免疫、炎症に関係するたんぱく質)が色々出てきますが、それが肝臓に運ばれると、インスリンの大量分泌・脂肪の合成につながります。太りやすい体質をグルテンが作ってしまうんです」(同)

 サイトカインによって肝臓が炎症をおこすと、インスリンの効き具合が弱まって、血糖値が上がりやすくなってしまい、インスリンが大量に分泌されるようになる。すると中性脂肪をどんどんため込んで細胞が肥大化していく。

 さらにPYY(Peptide YY) という小腸に多く分布する食欲抑制ホルモンが、グルテンによって腸が荒らされると分泌されにくくなる。結果的に食欲を抑えられなくなってしまうのだ。

 これがグルテン“フリー”をすると、腸の粘膜が安定し、血糖値の上昇が抑えられ食欲のコントロールができるようになる。自然にやせやすい体質になっていくというワケだ。

 さらに、グルテンフリー=糖質制限という面もある。

「とくに欧米人は、食事でとる糖質のほとんどが小麦からです。ですので欧米の人がグルテンフリーをやるということは、糖質制限ダイエットも一緒にやっているということになるんです」(同) 

 これを主食が米である日本人に当てはめると、炭水化物を抜くなどの糖質制限を組み合わせた方が当然、ダイエット効果も高くなる。

(後編に続く)

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