実際の城を見ながら、歴史の謎に迫る
外川淳の「城の搦め手」第16回
私のプロフィールは、「歴史ファンとともに古城や古戦場をめぐる『歴史探検倶楽部』を主宰」と、紹介されることがある。歴史探偵倶楽部は、10数年ほど前、文化放送の社会人講座として発足したが、諸般の事情により、数年前から個人主宰のサークル組織に改編。毎年日帰りツアー5回、1泊2日のツアー3回前後を挙行し、城、古戦場、台場などを巡っている。
倶楽部では、歴史の舞台となった史跡を実際に訪ねることにより、その真実の姿を知ることを主目的としている。例えば――というわけで、以下、ツアーの見所を紹介したい。
扇谷・山内連合軍が北条方の河越城を攻めたとき、付城として築かれたと想定される。ただし、城としての規模は大きく、扇谷方が築いたという定説には疑問符が付く。実際の城を見ながら、歴史の謎に迫るという流れは、歴史探偵倶楽部の特徴ともいえる。
河越氏館は、発掘調査が実行され、中世武士の居館として国指定史跡として保存されている。発掘地点には複数の案内板が設置されているものの、その内容を理解できるか否かは疑問。史跡のあり方を考え直すことも歴史探偵倶楽部の特徴。
自然の谷と見間違えるほどの巨大空堀。武州松山城は、北条氏と上杉氏が争奪を繰り返すなか大規模な土木工事が加えられた堅城へと進化。縄張り図を手にしながら、巨大城郭の構造を読み解く。