済州戦と柏戦。浦和のサッカーができなかったのか、しなかったのか
大逆転と敗北の間に見えるもの
らしさを出さずに試合に入った柏戦
アウェーゴール・ルール(ゴール数が同数の場合、アウェーゴールが多いチームが勝利※延長でのゴールは除く)があるため、1失点すれば2得点が必要となる。得点も必要だが、失点もできないという状況で、バランス良く戦った結果の勝利だった。
そのためには攻守に渡り長い距離を走らねばならないし、心身ともに力の消耗が余儀なくされたが、選手たちには自信をもたらす大きな勝利だった。
「監督はさらにチームが成長するよう、毎年新しいチャレンジをしようとしている。今季は(失点の少なかった)昨年以上に、ボールを(前線へ)押し込む意識が強くなっている。自分たちでボールを持つ時間が長ければ長いほど、ピンチの時間は少なくなる。ただ、ここ数試合はその数少ないピンチの場面で失点していたので、もどかしい気持ちがずっとあった。だけど、今日みたいな緊張感のある試合を無失点で終えられたのは大きいです。いい時の自分たちというのは、前線からの守備が素晴らしいですし、コンパクトに試合運べる。そこは今日うまくできたかなって思います」
ゴールキーパーの西川が笑顔でそう語ってくれた。
しかし、それから中3日で迎えた冒頭の柏戦。
先発選手をふたり代えただけの浦和レッズは、前線へ押し込むという意識は希薄で、どちらかといえば自陣に低くブロックを作っていた。カウンターが武器である柏がボールを持つ時間は自然と増える。
普段なら敵陣へと攻め上がる機会の多い槙野や森脇というDF陣も体力を温存するかのように、最終ラインにポジションをとる。水曜日には先の延長戦を含めた120分を戦ったばかりだ。もちろん、浦和がいつものように攻撃に軸足を移せば、カウンターのチャンスを狙う柏にとっては好機が生まれることも事実。辛抱つよく守り前半を終えられたら良いというゲームプランだったのかもしれない。
その姿は決して“浦和レッズらしい”とは言えないが、致し方ない決断であっただろう。前半終了直前、失点を許してしまったが、それほど慌てることもなかったはずだ。優勝を競うことになるかもしれないライバル相手に勝利こそ最高の結果だが、疲労度などを考慮すれば、勝ち点1でも悪くはないからだ。
後半開始早々の49分、興梠がPKを得るが外してしまう。その後は日本代表に初選出された柏のGK中村航輔が好セーブを連発。浦和は中村が守る柏ゴールをこじ開けることができないまま試合が終了した。