「石見銀山展―銀が世界を変えた―」開催!
世界をひとつなぎにした石見銀山の歴史を学ぶ
再発見! ニッポンの歴史舞台を旅する④
戦国大名たちが覇権を
争った鉱山都市「石見銀山」
金・銀といえば非常に希少なものであり、また富の象徴として滅多にお目にかかれぬ存在のように捉える人もおおいだろう。しかし16世紀から17世紀にかけての日本は世界有数の銀の産出国だった。
その中でも、日本最大級の銀山として注目されていたのが石見銀山(島根県大田市)である。16世紀初めの戦国時代には大内義隆や尼子晴久、毛利元就によって、その領有権が激しく争われた。彼らは銀を求めてただ争っていただけではない。当時の石見銀山には国内外より多くの人やモノが集まり、文化や技術の交流が活発に行われ鉱山都市が形成された。鉱山都市「石見銀山」は地域支配の重要拠点となり、大名たちはその支配権を争ったのである。
折しも大航海時代。石見銀山の銀はアジアを席巻し、経済や文化をグローバル化させた。世界は「銀」によってつながったのだ。江戸時代には徳川幕府の直轄領とされた石見銀山は、大久保長安らが開発にあたり、最盛期を迎える。
その後、産出量の減少により大正時代に閉山された石見銀山だが、その顕著な普遍的価値が認められ、2007年に「石見銀山遺跡とその文化的景観」として世界遺産に登録された。それから10年の節目を迎えた今年2017年、「石見銀山展―銀が世界を変えた―」が開催される(7月14日〜9月3日)。
その会場となるのが石見銀山資料館(大田市)、古代出雲歴史博物館(出雲市)の2館だ。石見銀山資料館では、銀山の発見をきっかけに世界有数の鉱業立国となった姿を紹介。さらに銀貿易を通して輸入された文物が、江戸時代の日本の産業や文化、学問に与えた影響を知ることができる。
また古代出雲歴史博物館では大航海時代の作品や石見銀山ゆかりの品々を通して、石見銀山の銀が世界や日本の社会にどんな影響を与えたかを紹介する。
両館とも日本初公開品を含む貴重な展示品が公開される。
日本が誇る歴史的財産、石見銀山の理解を深めるまたとない機会、見逃さないようにしたい。
問い合わせ先
古代出雲歴史博物館 ☎0853-53-8600 http://www.izm.ed.jp/
石見銀山資料館 ☎0854-89-0846 http://fish.miracle.ne.jp/silver/