摂りすぎると太る。でも大切な動力源。ダイエットの鍵をにぎる「糖質」の正体とは?
糖質制限ダイエットを徹底解剖①
三大栄養素の中で一番余りやすいのが糖質
ダイエットをする上でなぜ「糖質」との向き合い方が重要なのか。
「太る、太らないというのは単純に言ってしまえば、摂取エネルギーと消費エネルギーの差で決まります。摂取エネルギーが上回っていれば、結局、それが体脂肪として蓄えられるんです。人間が生きていくには、少なくとも“タンパク質”に“脂質”、そして“炭水化物”という三大栄養素が必要です。三大栄養素はそれぞれカロリー(エネルギー)を持っていて、1gあたりタンパク質と炭水化物、つまり糖質がそれぞれ4kcal、脂質が9kcalです。これだけ聞くと、脂質をとると最も太りやすく感じますよね。ところが、三大栄養素の中で、体が一番エネルギーに利用しやすく、また、余りやすいのが糖質なんです。ですから、あまり運動しなかったり、日常生活の中での活動量が少なかったりする人は、糖質が余って太りやすくなるんです」(森拓郎氏)
三大栄養素のひとつである炭水化物は、糖質と食物繊維が組み合わさって構成されている。そしてその中の糖質は体を動かすエネルギーになると同時に、脳の活動にも必要なものだ。ここで注意したいのは、それを完全に絶ってしまうと、身体活動全体に影響を及ぼすことにもなりかねないということだ。糖尿病など、厳密な糖質コントロールが必要な人以外が、素人考えで極端な糖質制限を安易に行うことの危険性は、最初に留意しておきたい。
とはいえ、やはり現代人が余分な糖質を貯めやすい環境にあることは間違いない。
「脳や赤血球で使われる1日に最低限必要な糖質の量は、120gだと言われています。それ以外の必要量は、その人の活動量、つまり、どれくらい体を動かすかによって変わってくるんです。ですから、オフィスワークがメインであまり体を動かさない人が糖質をとりすぎると、余剰エネルギーとなって体脂肪として蓄えられてしまうのです」(同)
体脂肪を蓄えるのは、食べ物がなくなった時にそれを分解してエネルギーとして利用するため。本来は飢餓に備え、生き残るために人間に備わった正常な機能。しかし食べ物が豊かになり、あまり体を動かさなくなった現代では、肥満に始まる様々な弊害を生み出している。皮肉なものだ。
これを防ぐには、体内で糖質を余らせないように運動をすればいいと思いがちだが、実はそう単純なものではない。
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