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現実をなめている。これが現代日本人の一典型であると知ることは重要だ【コロナ禍で生活はどう変わったのか(細石 巖)】

【一個人として考える Vol.4】


 自らの仕事、私生活を通じて緊急事態宣言下の2カ月間の自粛生活を「一個人」としてどのように向き合い対処したのか。等身大の問題としてコロナ禍による暮らしの内実を綴っていただいた。
 ————細石巖さんは、見えない暴力で国民を不安に陥れる「自粛警察」に対処するため、人々の姿が消え、変わり果てた夜の地元商店街を中心に、地道な警戒活動を行なっている。


◼︎「北斗」のザコキャラと現代日本人——目前の危機を知らない

細石 巖

 平民にとっての暮らしとは、まず生存ありきである。生存できて、はじめて生活がある。生活があって、はじめて文化がある。人類史の基本にある事実を新型コロナは教えてくれた。

 二度目のオリンピックが決まったとき、これはよいことなのか、何かいやな前兆なのか、今思えば、気づくはずだったのだが、声に出して「No!」と言うことは憚られただろう。

 日本人は反省が好きな民族らしい。子供から大人、学校・会社・家族で反省会をするやりとりは日常茶飯事だ。決して反省しないから反省を繰り返す。

 その割に、肝心なところで反省はおろか、事実を認めることをしないのも、またこの島の住民のお家芸である。

 回覧板を渡すふりをして後ろから静かに撃つ自警団、自粛警察現象は一瞬で広がった。これは撃つ者と、撃たれる者が表裏一体、同一人物であることを再び証明した。

 『北斗の拳』やホラー映画で、冒頭に勇ましく現れては、あっけなく殺されていくクズキャラたちがいる。その多くは目の前にある危機を知らない。

 なぜなら、現実をなめているからだ。 

 これが現代日本人の一典型でもあると知ることは重要だ。

 ゲームの世界にはレベルデザインという概念がある。新型コロナは、人類文明にとって新しいステージを提供した。しかし、ゲームのルールは、古典的なものでしかないことも教えてくれた。

 それは、まず生存するということだ。

 新しいゲームの名のもとに、我々はゲームの古典に回帰したのだ。

 コロナが下地をつくった列島に、前年を上回る暴れキャラの大型台風、そしてラスボス、大型地震が待ち構える。

 平民は、各自心身を武装し、生存をかけたゲームに没入しよう。 

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