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スティーブ・ジョブズの早すぎる死で世界は停滞した

【連載】「あの名言の裏側」 第8回 スティーブ・ジョブズ編(4/4)職人的なモノづくりの原点

できるかぎり美しくあってほしい。
箱のなかに入っていても、だ。
──スティーブ・ジョブズ

写真:ロイター/アフロ

 2001年1月、アップルは音楽・映像データの再生や管理をするためのソフトウェア「iTunes」をリリースします。そして同年10月には、初代の「iPod」の販売もスタート。現在、広く普及している「デジタルデータを端末に入れて持ち出し、音楽を聴いたり、映画を観たりする」というスタイルは、iTunesやiPodの出現により急速に広まったといえるでしょう。
 そして、アップルが初代iPhoneを発表したのは、2007年1月のことでした。現在、携帯電話・情報端末の主流となっているスマートフォンですが、その源流となるような製品はすでに90年代に存在していました。しかし、それらは一部のデジタルガジェット愛好家や、業務上の必要に迫られて用いるビジネスパーソンなど、ユーザーは限られていたのも事実です。そんなスマートフォンの認知度向上に大きく貢献したのが、iPhoneでした。
 90年代の後半の段階で、マイクロソフトのウィンドウズを搭載したパソコンが、市場におけるシェアの9割以上を牛耳っており、アップル陣営は残りの数%で細々と展開するしかありませんでした。そんな状況を打開するための取り組みこそ、iTunesを中核としたコンテンツ配信ビジネスであり、iPhoneという新たな情報端末・携帯電話事業だったのです。
 ジョブズは、次のような発言を残しています。

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 パソコンを必要とする人はやがていなくなるだろう。我々は長い間パソコンを使っていきた。パソコンは確かにすばらしいものだが、それさえも変化は免れず、これまでの利益構造も根底から変わっていく。すでに我々はその変化のさなかにいる。
(桑原晃弥『1分間スティーブ・ジョブズ』より)
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 ジョブズの真骨頂のひとつは、突出した革新性だったといえます。彼のアイデアにより生み出された製品たちは、私たちの日々の暮らしを大きく変えてしまうほどのインパクトを備えていたものが少なくありません。
 そしてアップルの製品は、ただ便利である、シンプルである、機能的である、ということだけで語り尽くせない魅力を秘めていました。iPhone、iPad、MacBook Airなど、近年アップルの名声を高めることに貢献した製品たちは、それぞれが物体としての美しさを放っており、所有すること自体に喜びを感じさせるような奥行きがあります。
 そうした付加価値こそが、アップル製品の大きな魅力であり、ジョブズのモノづくりに一貫した哲学を示しているものだったといえるでしょう。

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漆原 直行

うるしばらなおゆき




1972年東京都生まれ。編集者・記者、ビジネス書ウォッチャー。大学在学中より若手サラリーマン向け週刊誌、情報誌などでライター業に従事。ビジネス誌やパソコン誌などの編集部を経て、現在はフリーランス。書籍の構成、ビジネスコミックのシナリオなども手がける。著書に『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』、『読書で賢く生きる。』(山本一郎氏、中川淳一郎氏と共著)、『COMIX 家族でできる 7つの習慣』(シナリオ担当。伊原直司名義)ほか。

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