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日本をよくしたいという思いは一緒だった、井伊直弼と吉田松陰

歴史上の人物を四柱推命で鑑定! 第18回 ~井伊直弼と吉田松陰~ 

 歴史上の人物に迫るには様々なアプローチがあるが、ここでは四柱推命(しちゅうすいめい)という手法を用いて、歴史上の人物がどんな性格であり、なぜ成功したのか(失敗したのか)、また歴史上の人物同士の相性を読み解く。※四柱推命と用語の説明はページの最後をご覧ください。

 今回は、安政の大獄で処刑された吉田松陰と、その安政の大獄を推し進めた、大老・井伊直弼の相性鑑定を行う。また、直弼の他に安政の大獄に関わった人物との関係を見ながら、歴史の裏側を読み解いていく。

※直弼と松陰の具体的な鑑定結果は、BACK NUMBERをご覧ください

 井伊直弼と吉田松陰の世のイメージは犬猿の仲だろう。尊王攘夷を推し進めようとする松陰と、それを弾圧しようとする大老・直弼。結果的に、安政6年10月27日(1859年11月21日)、松陰は、直弼が行った安政の大獄により、29歳の若さで処刑されている。もし生き続けていたとしたら、松陰は、明治維新の先頭に立ち、明治政府をも担った英雄になったかもしれない。直弼は、松陰ファンにとったら、許せない大敵であろう。

 さぞかし相性が悪いのであろうと、相性鑑定をしてみたところ、なんと相性は100%。最高の相性であることが明らかになった。(ちなみに、100%という相性はなかなかあるものではない。30人に1人くらいだろうか。)表1に詳細を記すが、上から順番に深い仲になっていった場合を想定している。どこを切り取ってみても、直弼と松陰の相性は最高。いい友達、仕事仲間になれること間違いない。佐幕派の直弼、討幕派の松陰と立場が全く異なる中で、2人は相見えることはなかった(と思う)が、仮に同じ立場で出会っていたとしたら、最高のものを生み出す、よき友となっていたことだろう。

 

 

 出会うことはなかったにせよ、お互いにお互いを意識していたのだろう。22歳の松陰が兄・梅太郎に宛てた手紙で、彦根藩主である直弼についてこう歌っている。

「掩(おお)ふべき 袖の窄(せま)きを いかにせん 行道しげる 民の草ばに」「恵までは あるべきものか 道のべに 迎ふる民の したふ誠に」
 つまり、松陰は直弼について、民に対して哀れみの心を持っており、藩政も評価すべきものがあると一目置いている。直弼は直弼で、松陰の気持ちがわかるからこそ、安政の大獄で当時罪としては重すぎると考えられた、処刑に至ったとも取れる。

 これほど、相性がよかった2人であることを考慮し、安政の大獄には何か他に原因があったのではないかと、幕府の周りの人物についても鑑定してみた。

○間部詮勝(まなべあきかつ)

 

 大老・直弼の元で実務を行っていた、当時の老中・間部詮勝である。朝廷から日米修好通商条約調印の勅許を得るとともに、安政の大獄に奔走した。直弼を首相とすると、詮勝は官房長官。「井伊の赤鬼」に対し、「間部の青鬼」と呼ばれ、こうした動きから松陰から暗殺を企てられた。

 命式表から性格を読み解くと、行動力70%、知性20%、人脈10%と、バランスはそれなりにとれているものの、イメージ的にはいわゆるガツガツ系の行動派。

 ちなみに、直弼と詮勝の相性は75%、松陰と詮勝の相性は30%である。一般に相性がいいと言われているのは75%以上。50%以上はまあまあ、30%以下は悪いとみなされる。松陰は会ったことがないだろうに、詮勝と反りが合わないのは容易に納得がいく。また、直弼と詮勝は相性がよかったからこそ、一緒に安政の大獄を行うに至ったのだろうが、どこかでボタンの掛け違いがあったのだろうか。最終的に詮勝は直弼から老中を罷免されている。
 

○長野主膳(ながのしゅぜん)

 

 国学者。もともとは直弼の師匠であったが、直弼が彦根藩主となると招聘され、藩政改革に携わった。その後、直弼が大老になると、直弼の命で京都に赴き、南紀派、徳川慶福(家茂)擁立に尽力した。安政の大獄では、直弼に一橋派や尊王攘夷派の志士の処罰を進言したとされる。いわゆる、直弼のブレイン、総理補佐官的存在である。

 命式表から性格を読み解くと、強烈、強靭なエネルギーを持っていることが明らかになった。
 

○八相局(はっそうきょく)
 通変星に兄弟星を4つ以上持っている場合をこう呼び、スケールの大きな人物となる。人間は悪くないが、悪知恵が働き、法律すれすれのことをやる。いわゆる政治家の参謀タイプ。主膳の場合、印綬を2つ、偏印を2つ持ち合わせていることから、印局の八相局となる。新しい時代の新しい物の考え方を生み出す力を持ち、新規開拓が得意。                       
 

○宿命大半会(しゅくめいだいはんかい)
 日柱の「丁卯」と月柱の「丁亥」の関係が宿命大半会であり、エネルギーが強くスケールの大きな仕事や実績を残すことができる。幅広い分野に精通できるゼネラリストタイプである。

井伊直弼が命を落した桜田門外の変(国立国会図書館蔵) 

 これほどのエネルギーを持っている人は、稀である。ちなみに、有名人で言うと、嵐の櫻井翔さんが、八相局と宿命大半会を持ち合わせるエネルギッシュな命式を持つ。持っている星が違うため、一概に比較できないが、エネルギー的には、アイドルとしてもニュースキャスターとしても、MCとしても幅広く活躍する櫻井翔さんに匹敵するものがある。参謀として活躍するエネルギッシュな主膳が、安政の大獄を裏で操っていたと考えると諸々納得がいく。

 ちなみに、主膳と直弼の相性は40%、主膳と松陰の相性は65%、主膳と詮勝の相性は90%と、長い付き合いがあった割に直弼との相性はそれほどよくはない。相性というよりは、主膳の絶対的なパワーに直弼が傾倒していたのだろうか。直弼が主膳に宛てた手紙には、恋心を抱いているかのような歌が多数詠まれている。また、詮勝は主膳とも、直弼とも相性がよい。主膳と直弼の仲を取り持つには、絶好の人材だったのだろう。

 

 これまでの相性鑑定の結果を相関図に表した。それぞれの立場や考えがあったと思うが、日本をよくしたいという思いは一緒だろう。直弼と松陰が手を取り合ってできることはなかっただろうかと、勝手ながら悔やまれてならない。来世での2人の活躍を期待したい。

■四柱推命とは?
古代中国で生まれた「過去、現在、未来」を予見する運命学のひとつで、陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)をもとに、人が生まれながらにして持っている性格、能力、素質を理解し、その人の努力や経験で変わる後天的な運命までも予測することができる。
具体的には、生まれた日(生まれた年・月・日・時間)をもとに命式表(めいしきひょう)を作成し占っていく。なお、ここでは生まれた時間は鑑定に含めていない。
「国史大辞典」に記載されている生年月日を、「和洋暦換算事典」を用いてグレゴリオ暦に換算し鑑定している。

【参考文献】
「安政の大獄―井伊直弼と長野主膳」松岡英夫 中公新書 (2001)
「井伊直弼と開国150年祭」http://www.hikone-150th.jp/

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妃萃(本名:油川さゆり)

ひすい

青森県八戸市出身。慶應義塾大学 社会学研究科 教育学専攻 修士課程修了、同研究科 同専攻 後期博士課程在学中。2013年鳥海流・鳥海伯萃より四柱推命の指南を受ける。これまで500人以上を鑑定。多数の弟子を輩出。

元放送局報道記者。フリーアナウンサーとして、BS11の番組にレギュラー出演しているほか、ナレーターや司会として活動中。日本の歴史、伝統芸能を伝えるため、歴史勉強会、その他イベントを主宰。自身も大和言葉、辞世の句、武田氏と油川氏等について講演活動を行う。合同会社真己、共同代表。また、2016年6月から「カミムスヒ」というソングユニットで歌手活動を開始。手話検定3級、ホームヘルパー、視覚障害者ガイドヘルパーの資格を持ち、社会福祉活動に積極的に携わる。


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