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河内の城・烏帽子形城跡①

季節と時節でつづる戦国おりおり第434回

 それでは河合寺城跡を下り、南海高野線を越えて反対側の対の城、烏帽子形城へ移動します。

 烏帽子形城は烏帽子形八幡神社様の神域ということで、よく遺構が保存されています。血湧き肉躍りますね。八幡様の境内には、これも楠木正成ゆかりの「武威松(室戸台風で枯死のためその輪切り)」が展示されています。正成が植樹したという伝承。
 この神社の上の山域一帯が烏帽子形城で、公園として整備されており駐車場などが設けられているほかは地形を改変せず、よく保存されています。

八幡様と公園には烏帽子形城遺構の説明板がありますから、どこに何があるかもよく分かりますよ。

 

 

では、遺構を見てまわりましょう。

 これは説明板の城跡の下側B、Cとしてポインティングされている箇所で、左側が本丸の高まり、真ん中の凹みがCの横堀、右がBの土塁です。横堀は現在通路として私たちが歩く歩道で、土塁はその堀の中を攻め寄せてくる敵を本丸と呼応して弓矢などで射るとともに外から山の斜面を攻め上ってくる敵を防ぐ工夫でもあります。説明板によるとこの横堀には後北条氏の城の堀に見られる障子堀のような防御構造(堀底に高低差を付けるなど)も確認されたそうで、このあたりは正成築城当時の遺構ではなく、戦国時代のものと考えるのが自然でしょう。

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橋場 日月

はしば あきら

はしば・あきら/大阪府出身。古文書などの史料を駆使した独自のアプローチで、新たな史観を浮き彫りにする研究家兼作家。主な著作に『新説桶狭間合戦』(学研)、『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本史』(西東社)など。


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