「ライン」の高さでサッカーの良し悪しを判断してはいないか。
ピッチ外から見るサッカーの落とし穴
ユベントスのラインは高いのか、低いのか
ここで言いたいのは、常に、ラインの高さにもメリットとデメリットがあるということ。それも選手たちが責任をもって判断をしていくものだということ。そしてサッカーとは常に判断のスポーツだということです。
ですから、これは僕の感覚ですが、「~のチームのラインは高い」と、チームのラインの高さを一概に言い切ることに違和感があるのです。
選手にあるのは、「いつラインを下げるか」と「いつラインを上げるか」、そして「どのくらい上げるか」を状況によって判断していくことであり、「チームとしてラインを高くしてます」とか「低くしてます」というのはありえないことです。
つまり、これも言葉が一人歩きしているのですが、選手に求められるのは常に、勝つため(守るため)に最善の判断をすることであり、決して「ラインを高くするため」にプレーすることではないのです。
例えば、今年のチャンピオンズリーグを盛り上げたユベントスの守備です。
ユベントスは相手がゴールキーパーやディフェンスラインでボールを回そうとすると猛然とプレスをかけ、ディフェンスラインはハーフウェーラインさえも超えていきます。しかし、そこをうまく外され、中盤で前を向かれるような状況ではラインを落とし、必要なら6人もの選手をディフェンスラインに並べて守備をしています。
このユベントスのラインは高いのでしょうか、低いのでしょうか。
僕は、彼らにあるのは、常に判断の連続だけのように見えます。ラインが高いとか低いとか、そういうことではなく、「いつ、何をすべきか」を個人個人が的確に判断し続けているだけなのではないかと。そしてそれを淀みなく、連続してやり続けているから、隙がなく、美しい連携が見られるのではないかと。
僕はイタリアの守備を参考にすることがよくあり、これまでの所属チームで時にはラインを思い切り深く構えることをしていました。そして、相手が前にボールを出せない時には逆に、思い切りラインを高くしたりしました。