田母神俊雄が嘆く、政府の「不断の努力と勇気」のなさ
田母神俊雄が「獄中ノート」で記した「日本の敵」論考 第5回
「閣下」の愛称でおなじみの田母神俊雄は2016年4月14日に逮捕され、厳しい取り調べを受け、東京拘置所で169日間勾留された。その時に田母神がメモし、熟成された論考が、最新刊『日本の敵』(KKベストセラーズ)で著された。閣下は獄舎で何を思ったのか。獄中ノートとともに掲載する。
国際社会で実力なき「交渉」などありえない
田母神俊雄と言えば、元幕僚長で軍事、戦争のイメージばかりが先行し、実は多くの方に誤解されていたのかもしれない。田母神は獄中では日本社会の弱体化と向き合い、再び強化するための政策をひねっていた。特に日本人が「希望」を持っていた時代は中流階層が多かった時だったことに思いをめぐらした。
「僕は平和主義者です(笑)。私だって戦争は嫌です。自衛隊の現場にいる者は、戦争で死にたいなんて思っちゃいません。むしろ、戦争に行かない人の方が美化してしまうのではないですか。だから平和を守るために必要なのが核武装です。二度と核が使われないための平和的武装です」
核武装ですか? 日本が! 田母神はすぐさまこう返した。
「例えば、あなたが街で突然、多くの人に、平和のために叫んでも、誰も見向きもしないはずです。しっかり聞いてもらうためには、強制する実力(権威や武力)が背景にないと無理でしょう。憲法9条が謳う恒久の平和について、私だって理想だと思いますよ。でも、9条で戦争に巻き込まれない保証は何もないんですよ。外国人は日本の憲法なんて知らないでしょ。平和であり続けるためには何を国家はし続けなければならないのか。それが不断の努力です。なので、その努力は現実の実力を背景にしなければ、日本の事情を知らない外国との交渉にはならない。対話が成立しないんです。ここが、多くの日本人がマスコミなどによって思考停止させられたと思います」
田母神の獄中ノートにも、政府の「不断の努力と勇気」のなさを慨嘆している。