井口資仁引退表明。憧れた3人の選手と未来を託す内野手。その功績を追う |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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井口資仁引退表明。憧れた3人の選手と未来を託す内野手。その功績を追う

プロフェッショナルにふさわしい井口資仁の素顔

井口資仁の素晴らしき人間性

 最後に、長年の取材を通して感じた個人的な感想だが、彼の素晴らしい人間性にも触れておきたい。

 井口は03年に、スポーツを通して社会貢献する「愛基金」という団体を設立。現在も代表を務め、メンバーには、その趣旨に賛同した川崎宗則(ソフトバンク)、杉内俊哉(巨人)、鳥谷敬(阪神)などが名を連ねている。
 主な活動内容は、病院や福祉施設の慰問、各団体への車いすの贈呈。また自然災害被災地への寄付金を募ったり、野球教室を開催したりもしている。 

 プロスポーツ選手は、子供たちが憧れる職業の一つだ。すべてのプロ野球選手が、人並み外れた血の滲むような努力の末、その夢を掴んだ。ただ、世の中には、病気や障害を抱え、どんなに努力しようとも、その夢への道のりのスタートラインにさえ立てない子供もいる。そのことを理解しているからこそ、井口は社会貢献に熱心なのだ。
 プロスポーツ選手とは、どういう存在であるべきか?

「野球が上手いとか、大金を稼ぐという点だけで、子供の憧れの存在になってはいけない」

 井口は、プロ野球選手として一番大切なことを“わかっている”選手だった。

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田中 周治

たなか しゅうじ

1970年、静岡県生まれ。東京学芸大学卒業後、フリーライターとして活動。週刊誌、情報誌などにインタビュー記事を中心に寄稿。また『サウスポー論』(和田毅・杉内俊哉・著/KKベストセラーズ)、『一瞬に生きる』(小久保裕紀・著/小学館)、『心の伸びしろ』(石井琢朗・著/KKベストセラーズ)など書籍の構成・編集を担当。現在、田中晶のペンネームで原作を手掛けるプロ野球漫画『クローザー』(作画・島崎康行)が『漫画ゴラクスペシャル』で連載中。


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