紙の本は滅びない。アメリカでも。
アメリカの読書風景②
●「書店が生き残ってきたのは、ただ本を売るだけでなく…」
「書店が生き残ってきたのは、ただ本を売るだけでなく、一貫して“キュレーション”と“ディスカバリー”を提供する“コミュニティー”をつくってきたからです」と、ABA会長オレン・テイチャー氏はいう。これは書店でEブックを売ったり、クラウドファンディングを採用したりといった新しそうなギミックではない。もっと本質的なことだ。「お客様に本を手渡しで売って、地元の読者のための品揃えやイベントを考える、なんてことは、この何十年ずっとやっていることですから」というのは、4年前にニューヨーク郊外の住宅地に念願の「アストリア・ブックショップ」をオープンしたレキシー・ビーチさんだ。
そのニューヨークで開かれる全米最大の書籍出版コンベンションである「ブック・エキスポ」。日本からも出版業界の人たちがやってきた。国内の状況を打破するヒントを求めているのはわかる。だが「出版不況ってなに? 人が本を読むのをやめたわけではないでしょう?」というのがこの街の答えなのだ。