冷蔵庫に残ったナンプラー…フラれた彼女とエスニックが忘れられない。ある芸人の回想録
「クックパッド芸人」藤井21が、エスニック料理にまつわる涙の過去を語る。
Hちゃんとエスニック
はじめまして、藤井21と申します。芸人やってます! この連載「めめし飯」では僕の得意な料理を「思い出」と共に紹介していきたいと思います。ひとつ、よろしくお願いします!
いや~最近じめじめとした暑さが続いてますね。ただでさえ少ない気力も体力も奪っていく。そんなうだるような気持ちの時はエスニック料理が食べたくなります。
タイ、インドネシア、ベトナム等の東南アジアの料理を中心とした「エスニック料理」。
今でこそ日本でも定着してタイ料理やベトナム料理の専門店が数多くありますが、僕は子どもの頃エスニック料理を食べた記憶がありません。
グリーンカレーも、生春巻きも、トムヤムクンも、ヤムウンセンも、カオマンガイも全く食べた事がありませんでした。
小学生の頃なんてパクチーの存在すら知らなかったかもしれない。
我が地元埼玉県の東松山市には当時タイ料理屋はなかった!(たぶん)
そんなエスニック料理ですが僕がちゃんと認識して食べたのは大学生の頃でした。きっかけは一人の女性でした。その名は“Hちゃん”。
好きな人のものを自分も好きになるといった現象を経験した事が誰しも一度はないでしょうか。
これを専門用語で「同一化」というらしいんです。
この現象は憧れや行為の対象を知らず知らずのうちに真似して、さらに自分のものと勘違いしていることからくるものらしいです。そんな「同一化」を経験したのが僕にとっては件の「エスニック料理」でした。
大学生の頃、僕が付き合っていた女性、“Hちゃん”は無類のエスニック好きでした。
当時、Hちゃんは大学近くに一人暮らししていました。1Kロフト付きの「The大学生の部屋!」という感じのその部屋の冷蔵庫にはタイの魚醤「ナンプラー」が常備されていました。そしてエスニック大好きなHちゃんはそのナンプラーを納豆にかけ、パクチーとあえる「エスニック風納豆」がお気に入りでした。