【街金は見た!】ぼく「利息支払えません」、貸金業「んやとぉ!rYoFd82cXr4GNOfRzqsp!(博多弁)おまえ働いて返せ!」《20代半ば借金奴隷》
【多重債務の現実】ぼくと街金①
日頃見えてこない生活金融の現場、貧困の現実。日本人はみんな東京23区内に住んでる中流階級かのような毎日のニュース。しかし、大多数の民衆は年収400万以下だ。さらに人口減少・高齢化にともなう需要減少、コロナ禍による営業自粛。この負のスパイラルにおいて多くの日本国民がもはや明日の決済で汲々している。「だから街金はなくならないのです」と『ぼく、街金やってます』の著者であり、経営者のテツクル氏は語る。そして、「ぼくも街金から借りていた口なんです」と。
この物語は、テツクル氏の実話をもとにバラ色の20代から暗黒の20代後半へと変わるお話しする。多重債務者の現実。それを「見続け、貸し続け、回収する」街金の現実。債務者と債権者の壮絶なドラマの幕開けです!
■ぼくの人生で唯一輝いてたあのころ。
キラキラしてた20代前半。ぼくの人生で唯一輝いてたあのころ。
あのころのぼくは、アラフィフになったとき、街金ではたらいてるなんてこれっぽっちも想像してなかった。
当時はたらいていた会社の都合で独立を迫られ、右も左も経営が何なのかもわからない、東京といえば池袋の24歳が社長になってしまったんです。資金繰りの知識もなく、周りの大人たちに助けられ(カモられ)。
世間をまったく理解してなかった20代前半に、保証協会に申込んだら300万って言われたんです。知り合いのおじさんの、都議にこんにちはしてきなさいっていう指示に従ったら1000万に増えたんです。もっと借りたいっておじさんに話したら代々木のお爺さん紹介してくれたんです。そしたら3000万枠ができたんです。
雰囲気だけでなんとか経営を続けていました。
西麻布のアムリタとか、麻布十番のルネスが東京だと思ってました。
羽澤ガーデンなんて連れていってもらったら、ちょい漏れしてました。
ちょう杜撰な経営ですから、すぐお金が底をつきます。
飲み友だちに資金繰りを相談したところ、
「福岡の知り合いが貸金業を営んでいるので、話してみる」
と、その場で電話してくれました。
「明後日東京に来る予定あるみたいだから、そのとき会おうだって」
とんとん拍子で進んでいきます。
朝9時にウエスティンホテルに呼び出されました。
1階のラウンジには、モロやくざなおじさんが3人座ってました。
待ち合わせの相手が違う人であることを祈りつつ、飲み友だちに教えてもらった携帯番号に電話すると、3人のうちダントツでガラの悪いおじさんが
「はいー」
と甲高い声で出たんです。
やだ、ちょう怖い。
このままバックれてしまおうか。
ぐるぐる空回りしてる脳と体が別行動をして、おじさんに向かって右手を上げて合図してしまったんです。
その後のことはほとんど記憶がありません。
意識が戻るとおじさんたちは帰っていて、テーブルには10万円ごとに輪ゴムで束ねられた100万円と、バカ高いコーヒー代の伝票が置かれていました。
おじさんたちは、朝食も食べてました。
すぐ飲み友だちに電話しました。
「借りられたよ、ありがとう」
「利息、大丈夫? 払っていける?」
「利息? 何も言われなかったよ?」
「まぢで? トイチだよ?」
終わりました。
僕は20代半ばにして10日おきに10万円払わなければいけない奴隷になったんです。
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『ぼく、街金やってます: 悲しくもおかしい多重債務者の現実』
著者:テクツル
東京・池袋で街金を営む著者のもとには、さまざまな多重債務者がやってくる。そして返すあてもないまま借金を重ねていく。そんな彼らの、悲しくも爆笑せずにはいられないさまざまなエピソードを面白おかしく、しかし赤裸々に、街金ならではの視点で紹介。
ほかにも、ブローカー、詐欺師、悪徳業者、反社など、日常生活では出会うことのない人々が続々登場。今まであまり語られることのなかった街金コラムも満載。あなたの知らないお金の世界が見えてくる!