【街金は見た!】街金のぼくは断言する!「街金に借りにくる大半の人は、沈んでいきます」
【多重債務の現実】ぼくと街金④
日頃見えてこない生活金融の現場。『ぼく、街金やってます』の著者であり、現役街金経営者のテツクル氏の実話をもとにバラ色の20代から暗黒の20代後半へと変わるお話しをする。
多重債務者の現実。それを「見続け、貸し続け、回収する」街金の現実。
債務者と債権者の壮絶なドラマをお届けします。
■3カ月ぶりに東京に帰る
福岡では、手形、小切手を担保にしてました。
東京では不動産です。
査定についてはちょう曖昧な教育でした。
「みんなの見て覚えろ」
そのみんなも、ちょう適当な査定をしてるので、まったく参考になりません。
「借りたいって金額の半分まで貸しとけば外さない」
と、従業員のひとりは言ってました。そんなレベルです。
地番の調べ方、謄本の取り方、偽造委任状での戸籍謄本の取り方。
先輩と某町役場に債務者の本籍記載の住民票を偽造委任状で取りに行き、同町内に本籍があると判明すると、先輩は一度役場を出て、2分後に、
「戸籍の委任状もらってきました」と提出してました。
おおらかな時代でした。
おそらく、日本で一番ゆるい街金でした。債務者にではなく、身内に。
大会長は、金貸しで運用と言いつつも、利益を求めていませんでした。
後輩たちが食べていくために資産を投下してやる、元金は減らすな、利息稼いで頑張れ、というものでした。
当然、全員大会長に甘えます。甘えまくります。
もちろん、遅延してる債務者には取立てに行きます。地方でも出張して取立てます。
取立てした利息を、
「すいません、昨晩呑みに行って、溶かしちゃいました」
とか平気で言う従業員がいるんです、何人も。
「おまえ、ふざけんなよ。次の給料から引くからな」
上司もそれだけです。普通の会社ならどうなるんでしょうか。
たまに、翌日の貸付金持って帰宅するやつもいるんです。
明朝直行したいから、という理由だけでです。
翌日の貸付金5000万持って軽く一杯、のつもりがいつも通り酩酊するまで飲んでしまい、気づいたら5000万失なってた、というやつもいました。
さすがに、こいつは超絶詰められてましたが。
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『ぼく、街金やってます: 悲しくもおかしい多重債務者の現実』
著者:テクツル
東京・池袋で街金を営む著者のもとには、さまざまな多重債務者がやってくる。そして返すあてもないまま借金を重ねていく。そんな彼らの、悲しくも爆笑せずにはいられないさまざまなエピソードを面白おかしく、しかし赤裸々に、街金ならではの視点で紹介。
ほかにも、ブローカー、詐欺師、悪徳業者、反社など、日常生活では出会うことのない人々が続々登場。今まであまり語られることのなかった街金コラムも満載。あなたの知らないお金の世界が見えてくる!