南北朝時代から続く庶民の苗字があった! 日本最古の庶民の苗字とは?
ニャンと室町時代に行ってみた 第5回
継承されゆく苗字
江戸時代になると「苗字・帯刀」は武家の特権となり、幕府や大名に貢献して特別に許可された人以外、一般庶民が公的な場や武士の前で苗字を使うことは禁止されます。そのため、庶民は苗字を持っていなかったと誤解されがちですが、実際は村々でも家の名である苗字を持ち、村の中で堂々と名乗り合うことも少なくありませんでした。田畑を持てない水呑百姓の中にも、苗字を持っていた人がいたことが確認されています。先にみたとおり、中世の村落では苗字や姓をもっている人が多く、生活の場では引き続きそれが使用されたのです。
この状況が大きく変わるのは、明治初頭に戸籍法が制定されてからです。「今からは必ず苗字を名乗ること。祖先の苗字がわからない者は新たに苗字を設けよ」という新政府の布達を受け、初めて庶民も公に苗字を名乗ることが許されました。
<『おかしな猫がご案内 ニャンと室町時代に行ってみた』コラムより>