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“インターナショナルスクール出身の日本人”は金のたまご? 経済界が重要視、文科省も無視できない理由

知ったかぶりでは許されない「学校のリアル」 第4回

◆日本の大学はインターナショナルスクール出身者を迎えたがっている

 前回、「インターナショナルスクールに我が子をかよわせる親が増えている」という話を書いた。就学義務違反となっても、あえて日本の学校ではなくインターナショナルスクールを選ぶのだ。そういう親は減るどころか、さらに増える傾向にある。

 

 インターナショナルスクールは文部科学省(文科省)が認めた学校ではなく、学習指導要領に沿った授業もしていない。だから、日本の大学を受験する資格もなかった。インターナショナルスクールを卒業しても、日本の大学には進学できなかったのだ。

 その状況が変化してきている。「インターナショナルスクールに通う日本人はいない」という姿勢を守りつづけている文科省が、一方で、インターナショナル卒業者に対して日本の大学が門を開く仕組みをつくってきているからだ。

 2002年3月29日、「規制改革3カ年計画」が閣議決定される。そのなかに、「インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には、我が国の大学や高等学校に入学する機会を拡大する」という項目が盛り込まれていた。

 ここで問題になったのが、インターナショナルスクールの範疇に朝鮮学校など、いわゆる民族学校を含めるかどうかだった。これには一部で強い抵抗があった。

 そのため文科省は、翌年の2003年3月6日の中央教育審議会大学分科会において、国際的な団体(WASC、ECIS、ACSI)によって一定の教育水準を確保していると認定されているインターナショナルスクールの卒業生について受験資格を認めるという方針を示した。民族学校を排除し、欧米系のインターナショナルスクールだけを受験資格の対象としたことになる。文科省としては、一部世論に配慮したのかもしれない。

 ただし今度は、「アジア系の学校を認めないのはおかしい」という批判が与党内からも起きてくる。困りはてた文科省は8月になって、欧米系インターナショナルスクールだけでなく民族学校の卒業生にも受験資格を認める方針を固め、それを実現していく。

 そこまでしてもインターナショナルスクール出身者を日本の大学に迎えたかったのだ。「インターナショナルスクールに通う日本人はいない」という建前は崩さず、インターナショナルスクールを卒業した日本人が日本の大学に入学できるようにする、ちょっと矛盾する策を文科省はとったことになる。

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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