140試合連続フル出場。大記録をもたらした中澤佑二「自分を動かす」力
大記録の裏側にあった「言葉の力」
■徹底したコンディショニング
39歳で達成した快挙は、長くプレーしたから達成できた、という類のものではない。アスリートにとってはむしろ、齢を重ねるにつれハードルが上がるものだと言える。
横浜Fマリノス、中澤佑二選手の連続フル出場記録だ。
J1第17節、大宮アルディージャ戦に先発し、ピッチで勝利のホイッスルを聞いた中澤選手は140試合連続で90分間を戦い抜き、フィールドプレイヤーで歴代1位の記録を打ち立てた。
日本代表として、アジアを代表するセンターバックとして、長きにわたり一線で活躍を続ける中澤選手の秘密に、徹底されたコンディショニングがあることはサッカーファンであればよく知るところだろう。お酒は一切口にせず、食事にも徹底的にこだわる。寿司のシャリがあまりに小さくて驚いたことがあった。それ以外にも、朝起きる時間、寝る時間など試合で戦うための体づくりに余念がない。2013年に『自分を動かす言葉』という中澤選手の書籍を担当した。取材をしながら、ふと時計に目をやった中澤選手が申し訳なさそうに言ったことがあった。
「すみません、そろそろ帰らないと夕飯の時間に間に合わないんで」
あとでマネージャーが教えてくれた。
「食事の時間も、寝る時間から逆算して決まってるんです」
そんな中澤選手にはもうひとつ、秘密がある。