【再び塀の中へ】ヤクザ者は見栄を張ってナンボの世界、地獄の沙汰も金次第《懲役合計21年2カ月〜帯広刑務所Uターン編〜》
シャバとシャブと地獄の釜Vol.07
元ヤクザでクリスチャン、今建設現場の「墨出し職人」さかはらじんが描く懲役合計21年2カ月の《生き直し》人生録。カタギに戻り10年あまり、罪の代償としての罰を受けてもなお、世間の差別・辛酸ももちろん舐め、信仰で回心した思いを最新刊著作『塀の中はワンダーランド』で著しました。実刑2年2カ月!
今回は、仮釈放で出たシャバに出るや、9ヵ月後には「帯広ヒルズ」に再びUターン。じんさん、何度、塀の中に入れば気がすむの⁉️
とはいえ、今回はさらにリアルなお金と見栄についてのお話だ!
■9ヵ月目で再び帯広刑務所にUターン
このときのシャバでの生存記録は、9ヵ月間。この間に三つの事件を起こした。
『直感的に「ちょっと待った」と』 覚せい剤が高騰する最中、安い一〇キロのシャブを九州からシャブ屋がリュックに入れて背負って来 るが、その取引で騒動を起こす。 『何で浅草警察マル秘対象に?』 浅草国際通り沿いには「黒竜」という名前の怪し気なマンションがある。そこへある品物を取りに出 入りするボクのベンツがマークされてしまう。 『ドラッグと酒に溺れて』 春の宵(よい)、殺されて地獄へ落ちて行ったアニキ分の眠る小平霊園の墓前で、独り墓に語りかけながら酒を 呑んでいたボクは、突然アニキ分の裏切り行為を思い出し、墓を壊してしまう。その後町中で暴れて 警察官を殴り飛ばすといった事件。
などなどの騒動を起こし、恥ずかしながら、再び帯広刑務所にUターンしたのだった。
ガキの頃から施設で育ってきたボクは、本当の「官物の子」、いや、オヤジになっていた。
区長の「サメ」が護送されて来たボクの顔を見て、「お前、サカハラか?」と言って驚いていた( ボクが名前を変えていたからわからなかったのだ)。それに、内地から続けて同じ刑務所へ送られてくるのは珍しいからだ。
このとき、ボクの心の中は、釧路の保護会の件で区長に恥をかかせてしまったことに対して、申し訳ない思いでいっぱいだった。
新入訓練も2週間が過ぎると、工場への配役審査会が始まる。その当日になって呼ばれたボクは、 入口脇に「気をつけ!」の姿勢で立たされて順番を待っていた。すると審査会の部屋の中から、区長 の「サメ」の声が聞こえてきた。
「サカハラの件ですが、印刷工場への配役は反対です。八王子拘置所から現在印刷工場に就役中の受刑者や、木工場に服役中の出射(いでい)へ手紙を出しているからです。出射とサカハラは兄弟分になっています 。本人は現役でないと言っても、手紙の内容からしてバリバリのヤクザです。だから、印刷工場への 配役に関して、私は反対です。三工場の鉄筋工場がいいと思いますが……」
こうしてボクは、懲役たちの間でいう「サムライ工場」へ配役になって行った。
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2020年5月27日『塀の中のワンダーランド』
全国書店にて発売!
新規連載がはじまりました!《元》ヤクザでキリスト教徒《現》建設現場の「墨出し職人」さかはらじんの《生き直し》人生録。「セーラー服と機関銃」ではありません!「塀の中の懲りない面々」ではありません!!「塀の中」滞在時間としては人生の約3分の1。ハンパなく、スケールが大きいかもしれません。
絶望もがむしゃらに突き抜けた時、見えた希望の光!
「ヤクザとキリスト〜塀の中はワンダーランド〜」です。