第43回 JR飯山線の観光列車「おいこっと」の旅 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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第43回 JR飯山線の観光列車「おいこっと」の旅

新潟県の観光列車「おいこっと」で鉄道旅行の良さを再認識!

十日町駅で出発を待つ「おいこっと」

 

 

 

 

 

 

この春デビューしたばかりの観光列車「おいこっと」に乗ってきた。
まずは、越後湯沢経由で十日町へ。
名物の蕎麦を食べたり、市の博物館を訪問したりしたあと、十日町を午後遅く出発する「おいこっと」の客となった。

2両編成の列車は、通常のディーゼルカーを改造したものだが、座席配置などは原形と同じで、4人向い合わせ、2人向い合わせのボックス席の他、ロングシートもある。
但し、いずれの席もテーブル付き。
ロングシートもペア席となっていて、窓に背を向けてはいるけれど、通勤型車両とは雰囲気が異なる。

ロングシートも収納してあるテーブルで飲食ができる

 

 

 

 

 

 

 

クロスシートが満席だったせいか、指定券はロングシート席だった。
はずれかな、と期待しないで乗りこんだのだが、隣は空席で、斜め座りして車窓をのんびり眺めることができたのは幸いだった。

アテンダントさんが乗っていたが、若い女性ではなくて、かなりの歳のおばちゃんだ。
大都会東京の真逆な地域を走る列車ということで、TOKYOを逆さに読んでOYKOT(おいこっと)。
それにふさわしく休みに田舎のおばあちゃんの家に遊びに行ったときの雰囲気ということで、おばあちゃん的な人選を行ったのであろう。

発車してしばらくすると、飯山線沿線の名物野沢菜を全員に配ってくれた。
車内放送は地元出身の俳優常田富士男さんの声で、おじいちゃんが話しかけるような朴訥な感じだった。
やがて信濃川を渡って、ずっと左に見ながら走る。

千曲川に沿って走る「おいこっと」の車窓

 

 

 

 

 

 

長野県に入ると川の名前は千曲川に代わり、のどかな田舎の景色が続く。
飯山近くの替佐駅付近は唱歌「故郷」の作詞者高野辰之氏ゆかりの地。
「うさぎ追いしかの山」の郷愁をそそる旅となる。
列車の車体や車内には、うさぎ、山、こぶな、川を図案化したアイコンが各所に散りばめられ、洒落ている。

蓑笠をまとっての記念撮影

 

 

 

 

 

 

戸狩野沢温泉駅で夫婦道祖神とご対面

 

 

 

 

 

 

観光列車では、記念撮影のボードがあって、アテンダントさんがカメラのシャッターを押してくれるのサービスがあるが、おいこっとでは、列車のイメージキャラクター「雪ん子」が身につけている蓑笠をまとっての記念撮影。楽しかった。
また、北陸新幹線の乗換駅となった飯山駅では18分停車。ホームでは横断幕を持ったJRの社員さんが歓迎して、ここでも記念撮影を手伝ってくれた。

飯山駅でも列車の前で記念撮影

 

 

 

 

 

 

2時間半を越える旅を終えて長野に到着。
美しくのどかな田園風景や和やかな車内でゆったりした時間を過ごし、鉄道旅行の良さを再発見できた。

野田 隆

のだ たかし

1952年名古屋生まれ。日本旅行作家協会理事。早稲田大学大学院修了。 蒸気機関車D51を見て育った生まれつきの鉄道ファン。国内はもとよりヨーロッパの鉄道の旅に関する著書多数。近著に『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』『シニア鉄道旅のすすめ』など。 ホームページ http://homepage3.nifty.com/nodatch/

 

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