「伝えたつもりが、ちっとも伝わらない」はなぜ起きる? ジャパネットの髙田元社長の視点
髙田明さん7月毎日更新 Q20. 「伝えたつもりが、ちっとも伝わらない」はなぜ起きるのでしょうか?
――「伝えたつもりが、ちっとも伝わらない」はなぜ起きるのでしょうか?
それは、伝えることの本質を理解できていないからかもしれませんね。何度も繰り返すようですが、本質をつかむことはコミュニケーションにおいても非常に大切なことなんです。
たとえば、自分が医者だとします。患者さんが何かの症状を訴えたときに、どこかが痛いならただ痛み止めを処方すればいい、熱があるならただ解熱剤を、というわけにはいきませんよね。それらの症状の原因が何か、何の病気なのか――つまりこれが本質にあたることですが、それを理解した上で、「あなたはこういう病気だから、こういう理由でこの薬を飲む必要があるんですよ」と説明されれば、患者さんも納得しますよね。
本質をつかんでそれを丁寧に説明することができれば、自然と相手に「伝わる」のではないでしょうか。
言いたいことの本質が見えれば、序破急に則って伝えることが可能となってきます。「序破急」というのは、能楽者の世阿弥が『花鏡』や『風姿花伝』などの中で触れている言葉で、「序」は導入部、「破」は展開部、「急」は結末部のことです。「起承転結」と同様の骨子ですね。
テレビショッピングでたとえるならば、「序」はつかみで、商品がどのように生活に役立てられるかの提案にあたります。「破」は、実際の使い方を説明したりします。そして「急」で価格を発表します。伝えたい本質がはっきりしていれば、それぞれの場面で何を言うべきかが分かります。逆に本質が分かっていないと、伝えたい内容が整理できず、ただ様々な情報をバラバラと話すだけになってしまいます。
言うべきことはしっかりと言ったのに、相手が理解してくれていない、と思うときは、自分が伝えたいことは何なのかを、もう一度よく考えてみると良いと思いますよ。