業界売上6兆円割れに。百貨店不況の一番の原因は何なのか?
【百貨店不況】を「日経ビジネス」記者・杉原淳一氏が徹底解説1/3
●実は百貨店の落ち込みは今に始まったことではない!
杉原…はい。百貨店の売上はバブル崩壊後から顕著に落ちていますね。ピーク時にあった約10兆円の売上は、年間数千億単位で落ちています。百貨店不況は今に始まったことではありません。実はもう数十年間「右肩下がり」の状態なのです。
シズカ…でも、近年は中国人観光客の「爆買い」もありましたよね
トオル…おっ、そういうの「インバウンド需要」っていうんだよね!
杉原…インバウンド需要で主に売れているのは、化粧品や時計・宝飾品、家電、雑貨などです。雑貨等の売上が伸びるのはありがたいものの…やはり大きな割合を占めるのはアパレルです。アパレルが振るわなければ長期的に売上高をキープし続けるのは容易ではありません。そして、昨年百貨店業界に象徴的なことが起きました。
トオル…え、何だろう。
杉原…百貨店業界の2016年の売上がついに6兆円を割ったのです。これは、およそ36年ぶりの出来事。実際に、大手百貨店が発表した2016年度の決算を見ても軒並み不調ですね。
トオル…でも、この前通りかかった銀座の三越とかは外目にも結構賑わっていたけどなー。
杉原…百貨店業界全体の売上が右肩下がりになるなかで、奮闘しているお店もあります。反対に限界を迎えつつあるお店も増え、明暗がはっきり分かれてきたのです。ここ1~2年で閉店したお店を調べると「そごう・西武」の店が目立ちますね。また、特に地方のお店は厳しい状況が続いています。各社で売上や利益の下がり幅に差はありますが、業界的に右肩下がりになっているのは事実です。
シズカ…やっぱり、百貨店が不況である事実は間違いないんですね。
トオル…そしてその原因としてアパレル不況という状況がある。