「GINZA SIX」ほど百貨店らしい百貨店はない
【百貨店不況】を「日経ビジネス」記者・杉原淳一氏が徹底解説3/3
●百貨店は「百貨店」を壊せるか
シズカ…そう考えると、今後はGINZA SIXのような形が増えていくのかしら。
杉原…むしろ、GINZA SIXの様な新しい業態になっていかざるを得ない部分もあるでしょう。閉店を行っているのは郊外や地方が中心ですが、都心部の百貨店も決して良い業績ばかりではない。そうなると、各社が百貨店という業態にこだわらず変化していく時代になっていくと思いますね。
トオル…GINZA SIX以外に目立つような動きってあるのかな?
杉原…例えば、高島屋港南台店の4~5階にニトリが出店しています。これまでの百貨店は、1階に化粧品コーナーがあり、2Fには婦人服、地下に食品街……というフルパッケージでしたが、百貨店のなかにテナントを入れるという動きが目立ってきています。
トオル…そういえば、新宿の髙島屋(タカシマヤタイムズスクエア)にもニトリができたよね。
杉原…やはり不動産事業に取り組んでいく流れは強くなるでしょうね。「そんなのは百貨店ではない!」という声もありますが、そもそも百貨店の「百貨」は“いろいろの商品“という意味。これからの百貨店は、これまでのような形ではないかもしれませんが、コアの部分にあるのは、「お客さんが欲しいと思う、いろいろな商品やサービスを取り揃えること」でしょう。百貨店業界が自分たちで勝手に定義している「百貨店」をいかに自分たちで壊していけるのか。これが、百貨店が生き残るための1つのキーポイントになっていくのではないでしょうか。
シズカ…たしかに、「百貨店だから」という理由では行かないけど、真新しいものとか能楽堂とかがあれば足を運ぶ気になるかも!
トオル…今こそイノベーションを起こすときかもね。杉原記者、ありがとうございました!