ゼロから「何か」を生み出させる絵本の読み方
受験もその先も。一生使える力になる、「究極の育て方」⑨
オリジナル・ストーリー『山城けんぞう』
更にわが家では「続き」どころではなく、全く新しい「新作」をつくることもよくありました。
一番人気があったのは『山城けんぞう』物語。提案者は主人。「山城けんぞう」という探偵のハードボイルドなお話です。ハードボイルドなのにへぼ探偵で失敗ばかりしているという設定でした。
これを読んでくださっている方は「誰?」と頭にはてなマークが浮かんでいると思います。この「山城けんぞう」というキャラクター誕生には、ちょっとしたエピソードがあります。
小成という私たちの苗字は、なかなかちゃんと読んでもらえません。外食などで順番待ちをするときに名前を記入すると、必ず「小城さん」とか「小成さん」と呼ばれてしまいます。それが面倒なので、そういった場で名前を書くときには「小成」と書かず「山城」と書くことにしているのです。「山城」という苗字はそれほど多くはありませんし、読み間違えられることもありません。呼ばれれば私たちだとわかります。
そして主人の名前を少し変えて「けんぞう」に。そう、自分の名前をパロディにしてつくった物語なのです。これは子どもたちに大好評でした。
主人が「山城けんぞう」をやってくれるとなると、「お父さんが昨日の続きを話してくれる!」と言って喜んでベッドに入りました。目をつぶって聞いていると、自分の頭の中に映像が広がっていくようです。「こんな登場人物が出てきたら面白いんじゃない?」と子どもたちからアイデアも出るようになりました。そして主人が疲れて眠いときなどは「今日はおまえがやれ」と言って、子どもたちが話の続きするようになりました。
これは「よく飽きないな~」と思うぐらい続きました。確か中学生の頃までしていたと思います。自分たち家族しか知らない特別なキャラクターを持つこともちょっと秘密を共有するようで、親子の絆が強まったと思います。
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