第40回 新緑の渓谷をたどる越美北線の旅
金沢から足を延ばして、福井駅から出ているローカル線越美北線に乗る。
北陸新幹線開業で首都圏から行きやすくなった北陸。
金沢から足を延ばして、福井駅から出ているローカル線越美北線に乗ってきた。
列車本数が少なく、福井駅を午前に出る列車は2本、うち1本は6時台の発車で、途中駅の越前大野行きだから、終点まで通して「乗り鉄」を楽しむには、9時過ぎの列車しか選択肢はなかった。
乗り場を目指すが、どこにも越美北線とは書いてなく、「九頭竜線」という表記があるのみ。終点が九頭竜湖駅だと知っているから迷わなかったけれど、途中駅の越前大野しか知らないと迷う人が出るかもしれない。
発車時刻の10分程前に列車が入ってきた。
やや小ぶりのディーゼルカー2両編成だが、後ろの1両は越前大野止まりで、終点の九頭竜湖まで行くのは前の1両だけ。
急いで先頭車に移動したおかげで、クロスシートの進行方向窓側の席を確保できた。
車内の半分はロングシートでボックス席は4区画16人分、進行方向窓側は4席しかないのでラッキーだった。越前大野へ向かう遠足の小学生が大勢乗りこんできて車内は蜂の巣を突いたようだった。
定時に出発。
足羽川(あすわがわ)を渡り、越前(えちぜん)花堂(はなんどう)で北陸本線と分かれて越美北線のか細い単線非電化の路線をたどりはじめる。
戦国大名朝倉氏の城下町の史跡が残る一乗谷あたりから山間部に入る。
何度も足羽川を渡り、渓谷に沿って山間部を進む。
やがて盆地に出ると北陸の小京都といわれる越前大野到着。
福井から50分程である。
13分停車の間に小学生一行は下車、ほかにもこの町を観光する人が大勢降り、車内は閑散としてしまった。
ホームではディーゼルカーの切離し作業が行われ、後部車両は、この駅始発の福井行きとして、10分後に折返し発車していった。
それを見送っているうちに、こちらも出発時間となり、ドアが閉まり動き出した。
しばらくは盆地をのどかに走り、柿ヶ島の手前で九頭竜川を渡る。
険しい山の中を進み、もう一度九頭竜川を越えて勝原(かどはら)着。
1972年まではこの駅が終点だった。
その先は比較的新しい路線ということもあり、長いトンネルが連続する。
九頭竜温泉の看板が出ている越前下山駅で一旦トンネルを出るが、発車すると再び長いトンネルに入る。
さらに短いトンネルを抜けると終点九頭竜湖駅だった。
ここでのんびり過ごしてもよかったが、帰りの列車は4時間後までないので、12分後に折り返す列車に乗って福井へ戻った。