経営者としてどうあるべきか。ジャパネットたかた元社長髙田氏が大事にしてきた「ある人の言葉」
髙田明さん7月毎日更新 Q23. ご自身のことをどのように評価されていますか?
――髙田さんは、ご自身のことをどのように評価されていますか?
これは以前、妻が言ったことなのですが、わたしには「劣等感も優越感もない」らしいのです。わたしの本質を本当にうまく言い当てていると思います。これまでに妻に言われたことの中で、一番の褒め言葉かもしれません(笑)。
わたしは「自慢する」とか「威張る」という感覚があまり理解できなくて、誰に対しても威張って自慢するということがないのですが、かといって自分のことを卑下しているわけでもないんです。
「自慢」にしろ「卑下」にしろ、その必要性を感じませんから。そう考えると、わたしはわたし自身のことを正当に、しかも厳しく評価できているんではないかなと思うんです。
自己評価の厳しさは、ラジオやテレビで話す時でもそうです。いつも「こんなんじゃ足りない、まだまだ」と強く思っているんですよ。
人間って、「まだ足りない」と思うことを100歳まで、死ぬまで続けていかなくちゃならないんです。そうして厳しく自己評価し続けていないと、歩みが止まってしまいますから。
自己評価の大切さを感じる言葉として、650年前の能役者である世阿弥が残した、「時分の花」「真の花」というものがあります。これが、わたしが言わんとしていたこととほとんど同じで驚きました。
「時分の花」とは、その一時の好機に咲いた、やがては散ってしまう花のこと。対して「真の花」は、生まれ持った才能に加え、努力の積み重ねによって高められた能力のことです。
たとえば、女性にとっては10代、20代が、一番肌つやが良くて輝く時期だと思うのですが、若い頃にどんなにきれいだった人でも、必ずおばあちゃんになります。若い頃の輝きや美しさは、「時分の花」であってやがて散る花でもあるのです。だから、「時分の花」を「真の花」と勘違いしてはいけません。
しかし、その時々で一生懸命に生き「時分の花」を咲かせ続けていれば、その人の本当の魅力や能力である「真の花」を咲かせられるのではないでしょうか。
わたし自身、「時分の花」ひいては「真の花」を咲かせることを目指して、これからも努力を続けていきたいと思っています。