戦後初の11年連続甲子園。聖光学院、強さの秘密「他喜力」 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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戦後初の11年連続甲子園。聖光学院、強さの秘密「他喜力」

ライター田口元義が聖光学院11連覇への道を追う-3

他喜力の完成形は――

三塁コーチャーの伊達選手(向かって左)と、大平選手(同右)

 東北大会後、チームで仙台市にある福聚山 慈眼寺を訪れ、住職の塩沼亮潤から約8年もの「千日回峰行」の体験や説法を聞き、大平も「自分もやるしかない」と腹をくくった。

 毎年恒例である夏の大会前のAチームとBチームとの壮行試合では、ベンチ入りメンバー、背番号をもらえなかった選手が一丸に戦える手応えを確信したと、大平は言う。

「だんだん、控えメンバーやベンチ入りできなかった選手たちへの想いが強くなっていきました。練習中からみんなガツガツ言い合えるようになったし、『他喜力』を出していけるなって本気で思えるようになりました」

 バラバラのピースは、いびつながらその形を変えていき、徐々に組み合わさっていく。そして、夏の福島で他喜力という大きな一枚の絵を完成させ、甲子園の切符を手にした。

 今の聖光学院はもう、個人主義のチームではない。現主将の仁平勇汰が自信を見せる。

「聖光はひとりがチームを引っ張っていくようなチームじゃない。大平とかキャプテンを経験した選手もそうですけど、選手1人1人がチームを作り上げていっているんです」

 14度目の甲子園が始まる。

 11年連続で福島を制したが、まだ喜びが満たされたわけではない。まだ見ぬ頂へ到達した時、他喜力の物語は完結する。【田口元義「聖光学院、11連覇へ臨む」3回】

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田口 元義

たぐち げんき

1977年福島県生まれ。元高校球児(3年間補欠)。ライフスタイル誌の編集を経て2003年にフリーとなる。Numberほか雑誌を中心に活動。試合やインタビューを通じてアスリートの魂(ソウル)を感じられる瞬間がたまらない。現在は福島県・聖光学院野球部に注目、取材を続ける。


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